チャリアカーを引いて学校に登校するのもいい加減慣れてきた五月の半ば。前方20メートル先に花ちゃんの姿を発見。交差点のとこで、信号待ちしてる。どの速度でいけば偶然を装えるかを瞬時に頭の中で計算。よし、この速度だ。チャリをゆっくり走らせると花ちゃんと交差点のとこで会う。ドンピシャだ。

「おはよう、高嶺さん!」
「高尾くん。おはようございます」

ぺこりと一礼する花ちゃんからはまたいい匂いがした。さすが天使で女神でミューズでファムファタールな花ちゃん。真ちゃんが俺もいるのだよと言えば顔を引きつらせた。

「……あんた、高尾くんになんてもん引かせてんのよ…」
「チャリアカーだが?」
「名称を聞いてんじゃないわよ!!てかこれ、そんな名前だったの?!」

なんというか…。真ちゃんと話してるときの花ちゃん、いろんな表情するな。心開いてるってのもあるんだろうけど、なんか……、なんかなあ………。うーん……。

「乗るか?」
「乗らないわよ!…高尾くん、ごめんなさいね、緑間の野郎が……」
「えッ?!ぜ、全然!!(あ、声裏返った………)」

うおおおおなんこれめっちゃ恥ずかしい。何でよりによって今声裏返ったんだよ俺……。花ちゃんは真ちゃんに何やら怒鳴っている。そんな花ちゃんもかわいい。もう本当にかわいい。あんまり見過ぎていたからか、花ちゃんが俺を見る。な、なにか言わないと。何か、なにか。えーっと、えーっと……!!

「高嶺さん、敬語外してよ」
「……え、」

なぜそれを言った!!いや気になりはしてたけど!花ちゃんめっちゃ綺麗な敬語使うなって、思いはしてたけど!!ほかになんかあったろ、俺!今日もかわいいね、とか(あれ、これ何かちょっと違う……?)!

「あ、うそ!私敬語外せてませんでした……?」

素 だ と … … ?いやー、真ちゃんと話してるとき外してないからさ〜、と言うとふっといきなり真顔になる。


「緑間は幼馴染だから敬語つける理由なんてないでしょ?」


幼馴染……だと……?幼 馴 染 だ と ?チャリアカーの後ろに座っている真ちゃんをぎろりと睨む。言ってなかったか?とけろりとした態度の真ちゃん。

「聞いてない!俺そんなの聞いてないよ、真ちゃん!!」
「はあああ?!緑間あんた何で言ってないのよ!!帝光のときも言わなかったし!!もう、信じらんない!!」
「言う必要があるのか?」
「「ありまくる!!」」

新事実が発覚した。


140608.