「すごいです……!!」

どうやら花ちゃんは本当にはじめてゲーセンに来たらしい。クレーンゲームやら格ゲー、音ゲーなんかを物珍しそうに見ている。つーか、高校生でゲーセン来たことないって……。

(花ちゃん、って、なんか……)

「変わってるな」
「へ?」
「えッ。あ、ああ!何でもない、何でも……」

うおおおお俺の馬鹿。何で言葉に出したし!!花ちゃんをちらっと横目で見る。ほら!もうなんかテンション下がっちゃった!!

「…やっぱり、変ですよね。高校生で、こういうとこ来たことないって……」
「う、あ、や、その、」

何か言え俺!何か、こう、花ちゃんをフォローするような言葉を!えーと、えーっと……!!






「プ、プリクラ、撮る?」

何でそうなった!!おい!何でそうなった、俺!!全然フォローできてないよ!!むしろ苦し紛れにとりあえず何か言ってみました感否めないよ!!

「!!撮りたい!!」

そしてこの食いつきである。え、ええーッ。ま、まじか。自分から誘っておいて何だけど、プリクラって普通女友達と一緒に撮るもんじゃないの……。

「私、友だちとプリクラ撮るの、実は一度やってみたかったんだ」

友だちという言葉が突き刺さる。ウン、まあでも普通ソウダヨネ。そうなっちゃう感じダヨネ、ウン。知ってた!知ってたよ、花ちゃんが俺のこと友だち程度にしか考ええてないってことくらい!!知ってた!!!

「じゃあ、えっと。プリクラはあっちだね」
「うん」

にこにこ笑いながら俺の後ろを歩く花ちゃんに羽根が見える。天使だ。天使の羽根だ。ランドセルじゃなくて、物理的なほうの天使の羽根がそこにあった。神様、この瞬間をありがとう。いやほんと、真面目に。高尾くん?後ろで不安そうな花ちゃんの声がする。もう俺、別に今日が命日でもいいや。

「プリクラの機械、いっぱいあるんだけど、どれがいいのかな?」
「……あー……」

ぶっちゃけ何でもいいけど、ここでそれを言っては花ちゃんが困惑するだろう。まあどんなにかわいく見せるプリクラがあったところで現実の花ちゃんに勝るものはないからな。適当に空いてそうな機械を指差す。

「あれかな」
「あ、私もあれがいいかなって、思ってたんですよ」

小悪魔か!!なんだこれ。なんだこの手法。小悪魔か!!そんなことしたってな!俺はそうそう簡単には落とせないんだぜ、花ちゃんまじかわいい。


140617.