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※銅橋の口調性格等捏造注意※



銅橋くんのタイムがなかなか伸びない。インハイも控えているし、レギュラーメンバーということもあり、泉田にそれとなく原因を聞いてほしいと頼まれてしまった。なぜそれを私に頼むのだろうか。私はただのマネージャーに過ぎないし、銅橋くんの同級生にマネージャーだっている。そもそも普通そういうのって、部員同士でするもんじゃないのだろか。なぜ私に頼む。なぜ学年の違う私に頼む。なぜ自分で聞かない。全ての疑問を飲み込み、私は泉田くんの頼みを了承してしまった。



泉田くんから頼みを引き受けてしまったものの、よくよく考えれば私は銅橋くんと話したことなんてなかった。どうしたらいいんだろう、と銅橋くんの後頭部をひたすら眺める。そういや銅橋くんはあれか。真波くんと同じ学年か。私真波くんと何話してたっけ??あー、もう。考えるより行動だ。
「どーうはーしくん」
「!苗字せんぱ、」
うわ、はじめてまともに顔見たけど意外と強面フェイスだ。だが荒北先輩で鍛えられたというのもあり、何とか笑顔を保っていられた。
「な、んですか」
おや、何だろうか。すごくよそよそしい。これが学年の壁というやつか。いやでも泉田くんにはめっちゃフランクだったような気が……。あれ、もしかして私嫌われてる??てかこれ。こういう場合って何て切り出せばいいの???直球でいいの??名前ワカンナイ。
「いやあ、最近どうかな〜って。体調管理、しっかりしてる?」
「、はいッ。大丈夫です!お気遣い、ありがとうございます」
お、おう。何かすごいきっちり90度の礼をされてしまった……。体育会系、恐るべし。頭上げて、と慌てて言えばおずおず頭を上げる。え、私そんなに怖い先輩って見られてるの??軽く傷つく。まあ私、目つき悪いけどね。部活中表情筋動かしてないけどね。常に死んでるけどね。
いかんいかん、このままではいかんぞ私。流れと勢いとその場のノリとはいえ泉田の頼みを聞いてしまった以上は、きっちり責務を果さねば。
「ねえ、銅橋くん。最近なんか、悩み事とかない?」
「え、い、いや。特にないです、けど」
「うーん、そっかあ」
ごめんよ、泉田。これが私のコミュ力の限界なんだ。何かあったら相談してね、と笑って、そそくさと戻ろうとしたら、
「、あの!苗字先輩!!」
「……、うん?」
呼び止められたので振り返ると銅橋くんは耳まで真っ赤にしていた。何でそんな赤いの??去年のインハイに出てた、総北のちっこい赤頭くんを彷彿させた。やだ、どうしよう。こっちまで意味もなく顔が熱くなってきちゃった。
「せ、……先輩は、好きな人とか、いるんですか……?」
「……は、」
銅橋くんは大真面目な顔で、そんな突拍子もないことを言った。す、好きな人?少し考え込む。何で好きな人?
「いないけど」
「じゃ、じゃあ、あの、お、俺、立候補していいですか!!」
あ、まずい。銅橋くんの目を見て直感した。こいつ、マジだ。


140705.
銅橋かわいすぎて生きるの辛い(ゲンドウポーズ)