I still not love you!!


「近藤さーん!」


「げ、みょうじ」


「出たなクソドS!」


「なんでィ、また近藤さんに付きまとってんのか」




明らかに私を見てうわ、という顔をしているこいつは沖田(通称クソドS)、私の人生最大の敵である。私の尊敬してやまない大好きな近藤さんに付きまとう(同じ部活)嫌な奴。




「それはこっちのセリフ。まだ近藤さんに付きまとってるんだね早く帰れゴミ野郎」


「今日は近藤さんと部活の打ち合わせがあるんでィ。あ、そういえば今日俺を呼んだのは近藤さんだったかなー?」


「くっ…」




近藤さんが自らこの汚物を招き入れたなんて信じたくないけどそう言われてしまっては黙るしかない。




「もう、お前らいい加減に仲良くしなさい。会う度会う度喧嘩してたら追い出すぞ!」


「近藤さん、追い出すならこいつだけにして下せェ」


「大人しくご飯作ってくるんでお許しください!」


「宜しい!」




近藤さんに言われ渋々台所に向かう。あいつと2人にさせてしまうのは心配で仕方ないけど近藤さんの空腹を満たす為にいそいそと調理を開始する。たまに楽しそうな笑い声が聞こえてきて悔しかったけど無事オムライスを完成させ、リビングまで持って行き3人分を机に並べた。




「オムライス出来ましたよー」


「お、ありがとう!」


「みょうじにしては美味そうじゃねーか」


「あんたの為に作ったわけじゃないけどね」




意味っぽく返せばまた不毛な言い争いが始まって、近藤さんのため息が聞こえた。いちいち突っかかってくる沖田に今日はやたらとイライラしてしまい思わず大声で返すと何故か沖田に心底呆れた、というような顔をされ青筋を立てられた。




「近藤さんが好きなのは分かるけどベタベタし過ぎなんだよクソドS!」


「はあ!?…お前は本当にアホなんですねィ。俺が惚れてんのはみょうじで近藤さんは昔からの仲だろィ…っつーかお前本当に気づいてなかったのかよ毎回お前がいる時だけここに来てるってのに人の気も知らないでどんだけ鈍いんでさァ」




ポカーン。

まさにその一言に尽きる。クソドSのマシンガントークに呆気に取られもはや何も言えない私を見て言われた私よりも状況を認識した沖田は見たことのない表情で立ち上がり、鞄を引っ掴み、あっという間に身支度をし一言、




「あーー、近藤さん、俺今日は帰りやす…」


「はーっ、笑いすぎて腹が…!」




あのクソドSが耳まで真っ赤になりながら走って行く姿に爆笑する近藤さん。一体どうなってるんだ。




「で、なまえちゃんはどうなんだ?」


「え?何がですか…?」


「聞いてただろう?うちの総悟の告白、ふはは」




思い出し笑いを隠しきれずにニヤニヤしながら問いかけてくる近藤さん。




「どうと言われましても…」


「その割にはなまえちゃんも耳、赤いけどな!」




近藤さんに言われ両手で耳を隠してから気づく。「そういえば告白された時そんなに嫌な気はしなかった」と。




「まあいいんじゃないか?案外お似合いだと俺は思うぞ!」


「お似合い!?あんなクソドSと!?」


「なまえちゃん、思ってるよりすごい顔してるからね今!どんだけ嫌なの!?」




近藤さんにそんなこと言われたって、私はまだクソドSのことを好きではありません!

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