ローリンガール
彼女はいつだって傷だらけで帰ってきた。それは肉体的にも精神的にも。俺だってただ黙って見ていたわけではない、けど彼女はいつだって、
「もう一回、もう一回」
そう言うだけ。
何かを探していると言っていた。その”何か”が何であるかは彼女も分からないらしい。
「どうして分かんねぇもんの為にそんなことするんだよ」
「もうすぐ何か見える気がするの」
だから私は今日も転がるわ、力なく笑った彼女の顔を俺は一生忘れられないだろう。
「この世は素晴らしいけれど、私の居場所はここにはないの」
いつも俺には理解できないことばかり言っているけど、きっと彼女は自分は一人ぼっちだと言いたかったんじゃないだろうか。
「なぁ、もういいんじゃねーの?」
「まだよ、もう少し、あとちょっとで、」
傷だらけの彼女は言うけれど、その姿はあまりにも痛々しかった。
「待てよ、」
再び動き出そうとした彼女の包帯だらけの右手を掴むと驚いたように肩が揺れた。何だかどうしようもない気持ちが込み上げてきて、そのまま彼女を力一杯抱きしめる。
「しっかり地に足つけて、突っ立って見てみろよ」
耳元で呟くと顔は上げずに下を向いたままゆっくり口を動かしていた。
「これじゃあ、あんたしか見えない」
抱きしめているのだからそれは当たり前だけど、俺の伝えたいことはそういうことだ。
「俺がいるだけじゃ不満かよ」
「……っ」
上手く伝わったかは分からないが、彼女は俺の腕の中で糸が切れたように泣き出した。
「おつかれ」
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ローリンガール / wowaka(現実逃避P)
ラップ詞 / タイツォン