「なまえ、お茶取ってくだせェ」

「あ、はい(ナチュラルに呼び捨てだ…)」

「ノロノロしてっと終わりやせんぜ」

「いや、総悟くんほぼ何もしてないよ」


自分の荷物を人に整理させておいて何故ソファで踏ん反り返っていられるのか、その神経を疑いたくなる。きっと今日は厄日なのだ。総悟くんが部屋を間違えて入ってきたあの瞬間から私の厄日は始まっていたのだ。


「ボーッとしてねェで次、漫画全部並べて整理だろィ」

「なんでダンボールに入れる段階である程度巻数揃えてないのなんで巻数おろかタイトルまでバラバラなの」

「あぁ、さっきバラバラにしときやした。わざわざ俺が動いたんでィ、感謝しろ」

「なんか作業してるのかと思ったらそんなことしてたんだね」


昼12時から現在20時までの数時間もこの悪魔に付き合っていればもうこんなのは可愛く思えてくる。ていうかもう20時か…そろそろ帰って課題をやらないと本気で徹夜になってしまう。なんとかして帰らねば!


「あの総悟くん、そろそろ私帰りた、」

「くないって?仕方ねぇなぁ、床なら寝ていいですぜ」

「もうこの際なんでもいいけどお隣だから家で寝てもあまり変わらないと思うのね」

「明日も来るってことですかィ」

「え、あ、まぁ帰れるならそれでもいいけど」


何となく総悟くんの策略にはまってる気がするけどもう帰れるならなんでもいい。背に腹は変えられんというやつだ。


「私帰宅部だから学校終わったら家にいるよ」

「俺ァなまえと違って忙しいもんで部活があるんでさァ」

「いちいちカンに触る言い方するね本当」


私がムッとして返してもお構い無しで、総悟くんはというわけで、と言葉を続けた。


「晩飯作って待っててくだせェ」

「え」


思考停止すること数秒、なんてことないように言い放った総悟くんはなんてことないことように私を部屋から追い出した。


「一人暮らしなら自炊ぐらいしてんだろィ。こちとら部活帰りでヘトヘトで帰ってくる予定なんで」


私の部屋の前で念を押すように言われたが、さてどうしたものか。


「ていうか、隣なのに部屋の前まで送ってくれるのね」


総悟くんは変なところで紳士な人らしい。


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