「え、なんで私がついさっき初めて会った人の荷ほどきを手伝わなければいけないんですか」

「お隣さんだろィ」

「逆側のお隣さんを頼ってはどうでしょう」

「空室」

「では山田さんは」

「もはや俺のお隣さんじゃねェ」


くっ、言っていることはごもっともなんだが私が手伝わなければいけない理由が一つも見当たらないぞ。なのになんだこの人の溢れる自信と圧力は。お前は俺を手伝うしか選択肢はねェ、と目が物語っている。


「はぁ…私明日の課題まだ終わってないので早めに帰してくださいね…」

「なんだ、あんた学生かィ」

「高校生ですけど」

「老けてたんでババアだとばかり思ってやした」


フッ、と鼻で笑う様はまさにサディスティック星の王子、性格の悪さがにじみ出ている。ていうか老けてるなんて言われたことないし絶対信じないけどちょっと気にしちゃうから女の子にそういう悪口は言わない方がいいと思うんですけど。


「サディスティック星の王子さんはおいくつでいらっしゃいますか」

「銀魂校三年でさァ」

「子供っぽいから年下だとばかり思ってました。同い年ですか」


別段そんなことは思っていなかったけど仕返しとばかりに返せば何故かどんどん笑みが濃くなっていくサディスティック星の以下略。やばいんじゃね、と危機を感じるもここで謝ったら負けだと思い話を逸らすようにとりあえず目の前にあるダンボールを開けて作業を開始する。


「同い年なら敬語いらないよね」

「一生敬語使え雌ブタ」

「口悪いね」


ちょっと怒っているみたいだけどまぁ問題ないだろう。作業を始めて手伝うのを了承したということでご機嫌はプラマイゼロの様子。


「ねぇ。サディスティック星の王子さんは名前なんて言うの」

「沖田総悟」

「沖田くん」

「沖田様」

「総悟くん」

「総悟様」

「私はなまえでいいよ」

「雌ブタ」


なんだこのクソ生意気な男!人が怒らないで(女の子の方が精神的に大人だとよく言うし)聞いてれば調子乗りやがって!


「あのね総悟くん私だって怒るときは怒るんだからね」

「…ふーん」


ついに言ってやったぞ!と初めましてなのに今後の隣人同士の関係が悪くなるかもしれないことを顧みず一言物申してやると何故かニヤニヤしながらこちらを見ている総悟くん(もう勝手にそう呼ぶことにした)。


「な、なに…」

「いや?これからが面白くなりそうだなと思いやして」

「なんで!?」


何故か私が言い返したことが総悟くんのツボにハマったらしくケラケラと笑っているのがすごく怖かった。


/
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -