朝学校に登校すると何故か数人の女子(先日の友人含む)が私の机の周りを囲んでいた。何かあったのだろうかと思いながらもおはようと挨拶するとものすごい勢いでものすごい人数に詰め寄られ一斉に言われた言葉は「あのイケメンは誰だ」だった。


「あのイケメン…?」

「ちょっと惚けなくていいから、あんたやっぱり彼氏できたんでしょ」

「昨日も言ったけど彼氏はいないよ?」

「じゃあ昨日の夜二人で歩いてたイケメンは誰!」

「えっ」


もしかするともしかしなくても昨日ラーメン屋に行った時か帰りか、どちらにせよ総悟くんと歩いているところを目撃されたらしい。人違いだと言うにもこの人数に見られてしまうとなんとも苦しい言い訳になりそうなので諦めて確かに二人で歩いてましたと認めると尚更興奮を増した野次馬たち。


「昨日メールしてた総悟くん、です」

「あんなイケメンどこで捕まえたの!」

「捕まえたというか勝手に来たというか…」

「何そのモテる女発言は…!」

「あ、違うそういう意味では、」

「この裏切り者ー!」

「うわあ誤解が加速している」


話せば話すほどよく分からない方向に流れていき、果てには「どこまでしたの!?」というような質問だらけになったのでもう頭はパンク寸前だ。これをどうやって収集しろと言うのか。


「紹介しなさいよ、私たちに」

「んん!?」

「高校三年にしてようやく春が来たなまえに相応しい男かどうか私たちが見極めるって言ってるの」

「からかいたいだけでしょ!ていうか彼氏じゃないし!」


何度否定しようと私が照れているのだと判断したクラスメイトたちの質問攻めはこのあと学校が終わるまで続いた。地獄のような一日に疲れたので今日の晩ご飯は手抜きにしてやろうと総悟くんに八つ当たりすることを決めたけどそもそも昨日のメールが元凶なのでたぶん(言葉が矛盾しているが)妥当な八つ当たりだろう。


「今日はそうめんです」

「手抜きな上に時期が早ぇ…」

「いいの!もうだいぶ暖かくなったし問題なし!」

「しかも二日連続で麺ってやっぱりお前センスねぇや」

「献立考えるの意外と大変なんだからね」

「へーそりゃ可哀想に」

「他人事!」

「作るのはお前なんだから他人事で合ってるだろィ」

「食べるのは総悟くんもでしょ!」


ぶつぶつと文句をこぼしながらもやっぱり凄い量を平らげて帰って行くところがすごく総悟くんっぽくてブレないなぁと思う。まあ確かに部活から疲れて帰ってそうめんかよ、というのは少し分かるので明日はもう少し手の込んだものにしてあげよう。


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