土曜日、久々の一人飯に浮かれて牛丼チェーン店で食事をしたらやたらと虚しい気持ちになっただけだった。

日曜日、まさか今朝も朝食を作れと呼び出されるのかと思って身構えていたが総悟くんは来なかった。そしてもう今は夕飯の時間だ。


「な、何かあったのかな…」


この一週間毎日欠かさず押しかけて来ていた総悟くんが家に来ない。喜んでいいのやらよく分からないけどそれよりもまず何かあったんじゃないかと心配になってしまう。


「そうだ、連絡してみよう」


そう思い立ちケータイを取り出した。


「うん…?おきた、おきた、あれ、ないなぁ。そ、そ、そうご、そうごくん……ないなぁ」


探せども探せどもアドレス帳に「沖田総悟」の文字がない。もしや、もしや、


「夢オチ?」

「何がでィ」

「うわぁ!」


もしや総悟くんの存在自体が夢で、青春や恋愛に憧れるあまり全て私が生み出した妄想だったのではと自分を疑いだした私にいきなり声をかけたのは紛れもない総悟くんだった。


「妄想の化身…」

「何言ってんだ、お前」

「この総悟くんは実物ですか」

「それ以外何があんでィ」


パシッ、と頭を叩かれるとしっかり痛かったのでどうやら現実らしい。


「鍵は開けっぱなしだわ部屋の隅でボーッとしてるわ、危ねぇだろ」

「ええ!鍵開いてた!?」

「じゃなきゃどうやって入って来たか説明してみろバカ女」

「すいません。でも私も総悟くんのこと心配してたんだよ」

「心配かけるようなことしてねーだろィ」


言ったあとにすぐ悪い顔になってニヤニヤしだしたので嫌な予感がした。


「もしかして寂しかったとか」

「わっつ」

「寂しかったとか」

「そんなことはどうでも良いんだけど総悟くんのアドレスが見当たらないんだよね」

「そんなこととは何でィ」

「そんなことだよ」


ほんの少し前までは一人でご飯を食べることなんて当たり前で、たまに友達と外食をしたりする程度。誰かを待つなんてすっかり忘れていた気がする。とりあえず総悟くんのいない食卓に思ったことは「一人飯って虚しい」だ。

文字通りそんなことより今はケータイが壊れてしまったかもしれないことが重要で、何故か総悟くんのアドレスも番号も電話帳から消えてしまったこと伝えると私力作のチャーハン(一応作って待っていた)を食べながら、頭がおかしい奴を見る目でこう言われた。


「いや、そもそも連絡先教えてねぇし」


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