ピンポーン
今日は多めに晩飯を作っておけと言われた隣人生活四日目の本日。いつもなら強烈なドアノックで呼ばれるのに今日はインターホンが鳴った。
「インターホンの使い方分かったんだね」
「おいお前出会い頭にバカにしてんのか」
小馬鹿にしたように言いながらドアを開けるとそこには総悟くん、と土方さんがいた。どうやらインターホンを鳴らしたのは土方さんらしい。
「ど、どうも」
「寒ィから上げろィ」
もはやお決まりとなった言葉に今日はタッパーは用意せずすんなり中に通すつもりだったのだけど、土方さんがいることにより少し躊躇してしまった。何てったって昨日総悟くんからあんな話を聞いたあとでなんだか怖いじゃないか。
「何してんでィ。アホ面晒してねーで早く上がらせろ」
「総悟くんどういうことですか」
「あー、悪ィな、総悟が飯行こうなんて言い出すもんだから怪しいとは思ったんだが…」
「あ、いやそんなそんな」
やはり改めて総悟くんと土方さんが並んでいるのを見るとどうも土方さんの方が数倍常識人に見えてしまい、寒いでしょうしどうぞと自然と部屋へ上げてしまった。
「多めに作っとけってそういうことだったんだね…」
「せっかくの美味い飯を土方さんにも食わせてやろうと思ったんでさァ」
「美味いなんて今日はじめて聞いたけど」
とりあえず部活終わりらしい二人にお腹も減ってるだろうとカレーを出す。
「おい早くもレパートリー無くなってんじゃねーか」
「多めに作れなんて言うからこれしか思い浮かばなかったの!」
連日通りぶつぶつ文句を言う総悟くんに言い返すのはもう慣れっこだ。しかし食べ終わったらすぐ帰るだろうという期待も昨日通り裏切られてしまい、何故か土方さんまで普通に居座っている。言っても聞かないだろうと私は洗い物をしに台所に立ったのだが数分後、部屋に戻るととんでもない光景が広がっていた。
「…あの、そこ下着入れです」
「ウワー!土方サイテー!ムッツリスケベー!」
「は!?ちょ、おい俺はこいつを止めようとしただけで何も…!」
私の下着が入っている引き出しを開けようとしている二人の姿を目撃してしまったのだ。見ただけの感じなら確かに引き出しに手をかけているのは総悟くんなのだが土方さんの耳が真っ赤になっているのに気づいてしまい、二人揃って私の中の好感度(総悟くんはそもそもほぼ皆無)はだだ落ちなわけで。
「帰ってください」
「ムッツリスケベの土方さんは帰れって言ってまさァ」
「いやお前が余計なことすんのを止めようと!」
「総悟くんも、土方さんも、帰ってください」
あ、言いすぎたかなと思いつつも一番嫌な思いをしているのは私のはずなのにお互いに擦りつけ合うように言い合っていることに少し腹が立ってしまった。私が怒っていることを察したのか二人は意外とすんなり帰ってくれ、残された部屋で一人ため息を吐いた。
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