昨日のことがあり、こちらとしては自分が何をして避けられているのか分からないままで少し気まずい思いをしながらなまえが登校してくるのを待っていた。
結局、昨日は新しい連絡先の交換は叶わなかった。


05


「おはよ、ザキくん」

「お、おはよ」

「寝不足で死にそう」

「クマ、ひどいよ」

「ザキくんもね」


あれ、なんだ普通じゃん。

俺のクマがひどいのは昨晩なまえと仲直りする方法について考え込みすぎたせいでろくに眠れなかったからだ。もしかして彼女も同じように夜通し悩んでくれていたんだろうか。


「あ、沖田くん…」

「オハヨーなまえ」

「ぐっ…貴様…!」

「どうしたなまえ!?」


挨拶した沖田さんの顔を見るなり拳を握りしめて悔しそうにしだしたなまえに驚く俺。沖田さんは相変わらず涼しい顔でニコニコとしている。


「なんでそんなに元気なの、ツルツルお肌なの、クマがないの」

「昨日は楽しかったぜィ。またよろしくな」

「無理、夜通しお相手している暇は私にはありませんですさようなら」


夜通し、お相手、楽しかった、またよろしく

言葉の羅列だけで見ると俺の脳みそが中二並みなせいか卑猥な感じに見える。見えるけどこの会話を交わしているのが沖田さんとよりによってなまえだ。

まじか。沖田さんとなまえってそういう関係だったの?そんな素振り見たこともないのに?


「おーおー山崎どうしたってんで、顔真っ青だぜ」

「本当だ。ザキくん大丈夫?」

「だ、大丈夫…じゃない」


目眩だ。目眩がする。

ニヤリと楽しそうに笑う沖田さんと心配そうにこちらを見つめるなまえに何からどう聞けばよいのやら、困り果てた俺はまず考えることをやめるという選択肢を取った。

とりあえず一時間、授業を真面目に受けてみてそれから頭を落ち着けて、それから、それから聞いてみよう、うん。焦ったって何もいいことない。


「ザキくんなんか変」

「放っとけ。こっからが面白ェんだから」

「沖田くん、なんでそんな楽しそうなの」

「お前らの邪魔すんのが最近のマイブーム」

「お前ら、って私も入ってるんだね」


沖田さんとなまえが楽しそうに話す声に耳を傾ける余裕もなかった。

なんだ、マジでデキてんの?


彼女は思わせぶり
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