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イライラしてる時には甘いもの、だっけ。

なんだかもう他人のことで悩むのが馬鹿みたいに思えてきて、先生のことも石垣さんのことも考えるだけ無駄だと思った。とにかくここ数日の苛立ちを解消できないものかと考えついたのが、甘いもの。


「…ケーキ、あるかな」


殴られて出来た傷が痛む身体で制服に着替えて学校へ向かった。生憎今から行ったところで既に授業は全て終わっているだろうし、とっくに放課後の部活に勤しむ生徒しか残っていないだろうけど。あー途中で鎮痛剤買って行けばよかったな。


「何突っ立ってんだ、入るなら入れよ」

「っ…!」


今日でここに来るの最後にしようとかもうケーキ用意しなくていいよとか、それだけは言わなきゃと考えながら国語準備室の扉を開けるのを渋っていると、予想外に後ろから声がかけられて露骨に肩が跳ね上がった。


「よォ、随分無断欠席かましてくれてたじゃねーの」


俺お前がいない間何回校長室呼び出されたと思う?とぶつくさ文句を言ういつも通りすぎる銀八になんだか肩透かしを食らったような気分だ。


「とりあえず入れば?」

「…うん」


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