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「なんか元気ないね?そんな顔されちゃヤるにもヤれないよ?」
石垣さんは鋭い。いつも何を考えているのか分からない笑顔と不自然なくらい優しい手つきで私を抱くけど、先生の手から伝わってきたような暖かさは感じない。目の奥だって笑っていないし他の気持ち悪いやつらとは違った奇妙さがある。
「ごめんなさい、何でもないから気にしないで」
「誰がそんな顔にさせてるの?」
「え?」
「君がそんな顔するの、気に食わないなぁって」
「何言ってんの…?」
「分からないかな?もっと人形みたいに無感情で演技しながら抱かれてる君が好きだったんだよ、僕は。誰がそんな生身の人間みたいな顔させてるの?」
さてこれから始めましょうと上に跨られた状態で投げかけられた世間話にいつも通り適当に答えたつもりだったのに、突然声を張り上げた石垣さんの目に、今はひたすらここから逃げ出したい逃げなきゃいけないと脳から危険信号が出ている。でもこんな時に限って身体は全然動いてくれなくて柄にもなく泣きそうになった。
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