DEAD and LOVE | ナノ
猫のギンと別れた後、団子屋の時のようにメモを取り出して次の項目を読み上げる。
「えー、その三、今週のジャンプを読む」
「待ってお前マジで成仏する気ある?」
「だって未練全部書けって言うから!」
「いやそりゃ死んででもジャンプの続きが気になる気持ちはよーく分かる、分かるけど絶対成仏できない理由それじゃないよね!?」
「分かんないよ?ジャンプの続き気になりすぎて成仏できてないのかもしれないよ?」
幸い今週もきっちりジャンプは買ってあるので困ることはない、というか本当にこれが一番の未練だったとしたらそんな楽でいいのかと拍子抜けしてしまうレベルだ。あれもこれも気になってたんだよねーと早速浮かれ気味の幽霊を連れ改めて万事屋へ戻る。
「ただいまー!」
「オイ何自分んちみてーな顔して入ってんだ、普通俺が先だろ!」
「あれ、銀さん早かったですね」
「あ?おい新八この女、」
「銀さん眼鏡くんには見えてないよ」
「…だああ!めんどくせぇ!」
「な、なんですかいきなり!出迎えたってのにめんどくさいって!」
自分以外には見えないってこんなに面倒なことなのか、と思わず頭を抱える。こいつが俺以外とコミュニケーションが取れないのは正直かなり不便だ。しかも今幽霊の依頼をなんて説明したら俺が頭のおかしいやつだと思われるだけで誰も信じちゃくれないだろう。
「いや、なんでもねぇ…」
「なんか銀さん昨日から変ですよ、疲れてんじゃないですか」
「あー、そうかもな。なんか変なもんが見えてる気がするわ」
「ちょっと私のこと変なものとか言わないでよ!」
「銀さんがいつもそういうの嫌がるのに…やめてくださいよもう」
これ以上余計なことを言うと話がややこしくなりそうなのでこの辺にしておき、さてジャンプ読ませて成仏してもらうか、と部屋へ入り今週の分をほらよとなまえに手渡す。
まだかまだかと欠伸を何度もしながら待っていると、しばらくして読み終わった様子のなまえがしかめっ面をしていた。どうせジャンプを読んだくらいじゃ成仏できないことなんて分かりきっていたのでぶっちゃけ依頼の休憩くらいにしか思っていなかったのだがやはりというかなんというか、読み終えても尚消えることなくこいつは存在している。
「なんだよそんな顔して。つーかまた成仏できてねぇじゃねーか」
「いや、この漫画私が死んでから面白くなるとかずるくない?」
「続きは俺がたっぷり読み込んどいてやるから頼むから成仏してくれ」
「無理無理、全然続き気になる」
「まぁどうせ本当の未練ってこれじゃねぇだろ、分かってたけど」
「うん、私も分かってたけど」
お互い顔を見合わせ、果たしてこの依頼はいつ終わるのかとため息を吐いた。もう時間も相当経ってしまっている。今日は外も走り回ったことだし残りは明日でいいかと聞くと、なまえも疲れた様子でそうしようと返してきた。
「ねーねー。ご飯食べたい」
「幽霊に食わせる飯はねぇ!ただでさえ金欠なんだぞこっちは!」
「ケチだなー。ちゃんと依頼料は払うのに、少ないけど遺産で」
「遺産とか生々しいこと言うなよ!」
「あ、それで思い出した!明日私の家に行こう!」
「別に構わねーけどよ、普通死んだやつの家って整理とかされてんじゃ…」
「一昨日死んだばっかりだから多分まだだよ!むしろ早いうちに行っとかないと!」
と、いうわけで明日は未練の一つとしてなまえの家に向かうことになった。確かにいきなり死んだ時のままの部屋を両親に見られたくないだとか、エロ本は処分しておきたいだとかは未練としては納得いくので明日の行動はこれで決定だ。今回は無事成仏できそうだと期待値が上がったところで、だいぶ安心した為か肩の力が少し抜けた気がする。
月曜日
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