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- ナノ -

受けの好きな体位でシないと出られない


「あー」
「えっ……」

 愕然としたあたしの目の前で、レノはガリガリと頭を掻いた。ラブレターを書き終えたレノが大部屋に戻ってきてあたしを叩き起こしたのと同時、光った壁に浮き出た文字は『受けの好きな体位でセックスしろ』という情け容赦のない文字で。え、ま、待って、受けって、あの、あたしの、こと? っていうか、せ、せっく、せっくすって、

「あー、おまえ、どうする?」
「っどど、どうって、あの、」
「だから、できんの? オレとセックス」

 アクアマリンの瞳に見つめられて、ドクンと心臓が跳ねた。レノと、えっちなことが、できるか、なんて、そんなの、無理に決まってる。だって、あたし、べつにレノのこと、なんとも思ってない、し、レノだって、記憶がないあたしのことなんて、抱けるわけないでしょ?

「脅すつもりはねーけど。ヤらねえと一生出られねえぞ、と」
「っ、それ、脅しじゃん」
「事実だろ。おまえ、ここで死ぬまでオレと暮らすか?」
「む、無理!」
「じゃあ黙って抱かれろ」
「そ、それも無理!」
「はぁ?」
「れ、レノだって、あたしのこと抱けないでしょ。あたし、記憶、ないし、」
「記憶がなくたって、おまえはおまえだろ」

 腕を掴まれて、顔を覗き込まれて。吸い込まれそうなほど綺麗な瞳があたしをとらえたから、息すらうまく吸えなくなってしまった。レノの瞳が微かに揺らいで、愛しそうにあたしを見つめる。それだけで、きゅんと心臓が甘く締め付けられた。

「オレは、おまえを抱きてえ」
「っ、」
「おまえは? オレじゃ嫌か?」

 切なげに細められた瞳に、反射的に首を振ってしまう。でも、事実だった。見ず知らずの人ならともかく、レノなら。あたしのことを、あたし以上に知ってるレノになら、抱かれても。

「本当に、いいんだな? 途中でやめてやれねえけど。たぶん」
「へ、へーき」
「……おう」
「っ、」

 レノがあたしを抱き上げる。反射的に首筋に抱きつくと、レノの香りが鼻をくすぐって胸がきゅんと疼いた。そのまま首筋に顔を埋めると、レノが優しくあたしの名前を呼んだ。震える喉が心地よい。

「あ、の、レノ……や、優しくして……」
「おまっ、そういう……!」
「……?」
「……はあ。なんでもねえよ」

 まかせろ、と低く呟いたレノが扉に向かって歩き出したので、照れ隠しに再び首に抱きついた。


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201213



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