今日は私の誕生日。友人や両親から沢山のおめでとうをもらった。
だけど、1番欲しい人から、まだその言葉をもらえていない。
忙しい彼だから、難しいのはわかっている、理解しているつもりだったのに、誕生日は、少しだけ私をわがままにする。
「ホークスのばか…………」
通知のこない携帯。鳴らないインターホン。
私の誕生日が終わるまであと10分。
彼からのメッセージを期待して、何度も携帯を手にしてはその度に小さくため息をつく。
日本中を飛び回っているプロヒーローだから、日中に連絡が来ることはまずない。夜間も難しいだろう。それでも、たった一言、ありきたりでいいから、メッセージが欲しかった。
「…………寝よ…」
もう何度目かもわからないため息をついて、寝支度を済ませる。そして、ベッドに潜り込もうとした時だった。
コンコン
「え……?」
寝室の窓を何かが叩く音がする。
こんな夜中に、誰が? ここはマンションの高層階だ。普通の人が登ってこられるような高さじゃない。
そう考えて、一つの可能性に思い至った。
とても都合の良い、私しか得をしない可能性。
一抹の不安を抱えながら、そっとカーテンを開けて、窓の施錠を解錠する。
「お、起きてたか」
「ホークス! なんで………」
「何でって、誕生日。おめでとうって言わんとでしょ?」
窓の向こうにいたのは、会いたいと願った愛おしいヒーロー。
ほら。といって彼が差し出したのは、可愛らしいピンクの花束。甘く華やかな香りが、大好きな彼の香りと混ざって鼻をくすぐった。
「覚えててくれたの…?」
「恋人の誕生日を忘れるほど、冷たい男じゃなかよ」
そう方言まじりに言って、悪戯に笑いながら私の頬に手を伸ばす。目元をかすめた親指で、自分が泣いていることに気づいた。
「なんて言うても、泣かせちゃってるから、ダメな男だけどね」
「そんなこと、」
「あるよ。ごめん、寂しい思いさせて」
ギュッと抱きしめられて、彼の真紅の羽に包まれて、先ほどまでの鬱々とした感情はどこへやら。暖かくて柔らかな気持ちで満たされていく。
「日付変わっちゃったけど………、誕生日おめでとう、名前」
「ありがとう………!」
お友達みやびちゃんからいただきました!みやちゃんありがとう〜!!ホークスさんめっちゃかっこいいです!だいすき!