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「それでね、その時にティファがね、」
「ああ、」

 クラウドの優しい相槌に胸がきゅんと締め付けられる。もう遅い時間だから、本当は早く家に帰って、明日に備えて寝なきゃいけないのに。それでも、あまりにもクラウドが幸せそうに私の話を聞いてくれるので、喋り出した口は止まらなかった。閉店作業を終えたセブンスヘブンには、私たち以外誰もいない。今日のクローズ担当は私なので、ティファは1時間ほど前に自宅へと帰ってしまった。仕事を終えたクラウドが迎えにきてくれて、少しだけ飲もうとカウンターに座ったのだ。手元のお酒はとっくに空だったけれど、尽きない会話にずるずると店に居座っている。ひさびさに、二人きりのゆっくりした時間だった。帰らなきゃだけど、帰りたくない。もっとクラウドと一緒にいたい。頭の中がそれでいっぱいになって、なにを喋ってるかにまで意識がいかなかった。クラウドの瞳が、薄暗い店内できらりと光って、見つめられるだけで、どきどき、する。

「そしたらね、突然レノが訪ねてきて」
「ああ……ん? レノ?」
「うん、あ、連絡はちょくちょくきてたんだけど、なかなか予定が合わなくて、」
「……」
「それで、レノが私の、」
「おい、名前」
「なに、んぅっ」

 突然クラウドの手が私の頬を引き寄せたと思ったら、綺麗な瞳がぐっと近づいて、唇に触れる熱。一度離れたそれは、またすぐ降ってきて、慌てて瞼を閉じる。優しく触れた唇は、しかしすぐに吸い付くように私の唇を食んできて。ぬるりと侵入してきた舌が、私の口内を荒らす。激しい舌使いに息が苦しくなって、思わずクラウドの胸を押したら、はあ、という甘い吐息を吐きながらクラウドが私を解放した。突然のキスに頭がクラクラする。眉間に皺を寄せたクラウドが、私の髪を撫でた。

「く、クラウド、急に、なに、」
「……好きだ」
「っ、」
「だから、俺だけ見てろ」

 そう言ったクラウドが、また顔を近づけるから。彼の服を掴んで、受け入れるように、ゆっくり瞼を下ろした。このキスが終わったら、今度は私からキスをしよう。「私にはあなただけだよ」って、囁きながら。


200718