あれからと云うもの、あいつは俺に纏わり付かなくなった。

流石に少し言い過ぎたかと反省し、謝罪しに行こうかと思ったのだがクラスが解らなかった為、今度会ったときにでも謝ろうと思っていたのだが、現実はそれ程都合良くはいかないらしい。

全くと断言出来る程、会わないのだ。

まあ、同じ高校といえども校内は広いし、何より学年が違う為お互いに会おうとでも思わない限り滅多に顔を合わせることはないのだろうけれど。

しかし改めてそう考えてみると、俺はあいつのことを全く知らないのだということに今更ながら気が付いた。

思えば、名前すらまともに知らないのだ。
名前も解らないのだから、クラスなんぞ知っている筈があるまい。

何気なく窓を見遣りながら、溜息を吐くことで蟠っている罪悪感をごまかす。

視界に入れたそこから見えたグラウンドでは、丁度何処かのクラスがサッカーをしているところだった。
体操服の色からして、一年だろう。

一年。

ほぼ無意識にあいつの姿を探していた自分と、その単語を認識した途端にあいつの顔を瞬時に思い浮かべた頭に慌てて頭を振ったら、教卓の教師と目が合った上に盛大に睨まれた。

嗚呼、授業中だったなそういえば。

来たるべき教師からの呼出しをどうやってやり過ごそうかと思案しながらも、頭の片隅に在るのは矢張りあいつのことで、けれども胸を支配するこのよく解らないモノの正体は、結局解らず仕舞いだった。







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