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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -
空っぽの薬瓶
2018/06/02 18:59
ふと目にとまった才能診断とやらをネットでやってみたら「呪いの才能があるよ、呪術師がオススメ」って言われました。生業にするには少しばかりリスクが高すぎるのでやりません。
私の心は飴色の薬瓶。小さくてなんの変哲も無い半透明のガラスの小瓶。中身は空っぽで、何にもないの。香水瓶みたいな美しさも、ラムネの瓶みたいな思い出も、何もない。何もないけれど、きっと水を入れて小さな花を生けるくらいは、多分できる。綺麗じゃないけど、空っぽだけど、いいの。
小学生の時かな、文集のクラスページの表紙を描きなさいって言われてペガサスの絵を描いた。そうしたら、「あなたの絵にはストーリーが感じられない」って言われて泣いた。クラス委員の佐々木さんが、「一緒に描き直そう」って言ってペガサスの隣に人間を描いてくれた。この人は、私と違っていい人なのだと思った。
私は私の描いたペガサスを自由にしてあげたかった。人間を乗せて未来へ羽ばたく彼らを、好きなところに、好きなストーリーへ。
だけど、その白い箱の中では、人間の物語だけが人の心を動かせる存在だった。
私は、私のペガサスが今も地面で眠っている。

会社にいた頃に描くのをやめてしまった絵をまた描いてみたりしています。
少しだけ上手になりました。







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