何度だって僕たちは *相互記念 ほろ甘い…様へ


「銀時!」



屋根に居た銀時を桂が呼びに来た。




「坂本がたまには四人だけでご飯が食べたいと駄々をこねているから来てくれないか。」




疲れきった顔つきだ。




「駄々をこねてるってお前、
あいつは子供か!」




銀時は呆れた。




「四人でって、高杉が簡単に来ると思うか?」




「もちろん、もう手は打ってあるぞ。」



桂の顔が輝いている。



(高杉のやろう、終わったな。)





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坂本の部屋に着いた銀時は、部屋の中から聞こえる声に桂と顔を見合わせた。



「お前ふざけんじゃねえぞ!」




高杉の声だ。




「おまんらとご飯が食べたいきに。」




「だったら普通に誘えや!
後ろから殴り付けやがって、このモジャモジャが!」




かなり怒っている。




どうやら気絶させて連れてきたみたいだ。




「あはは、あははははは!」




「笑ってんじゃねえぞこの空っぽ頭!
もうちょっとで三途の川渡ってたわ!」





高杉がキレかけていたので、桂と銀時は部屋に入った。





「おい坂本。
銀時連れてきたぞ。」




「おぉ金時!
こっちに座るぜよ。」




「金時じゃねえよ!」




そう言いながら銀時は坂本の横に座った。




桂は高杉のもとへ行って、高杉の後頭部を眺めて感嘆の声をもらした。




「素晴らしいこぶだな、高杉。」




高杉は無言で桂を殴り付けた。




「貴様、何故俺だけを殴る!
あいつを殴れ、あいつを!」




桂はそう言って坂本を指差した。





当の坂本は、ひたすら銀時に話しかけている。




その全てを無視して銀時は桂と高杉に、




「腹減った。」




と言った。




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坂本が用意したのは鍋だ。




四人がテーブルにそろったところで桂がぱちんっと手を合わせて言った。



「手を合わ『いただきます。』」




「最後まで聞かんか!」




むなしくも無視された。




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お酒が入って完全に出来上がった天パ二人組が肩を組みながら目の前の二人に絡み始めた。




「お前らなあ、自分がストレートだからって俺らのこと見下してんじゃねーぞ!」




「ほんとじゃき。
天パの何が悪いぜよ!」





高杉と桂の思いは一つだった。




((うっとうしい!))




「坂本、お前もう寝ろ。
うぜえ。」




高杉の言葉に坂本は泣き出した。




「なんで俺だけじゃき。
もっ『ゴンッ!』」




えげつない音がした。



「「…」」




銀時の酔いがいっきに醒めた。




「何?
お前辰馬に恨みでもあんの?
もしかしてさっき殴られたことが…」




「手が滑っただけだ。」




「真顔で嘘つくんじゃねーよ!」




今まで黙っていた桂が口を出した。




「なあ高杉。
坂本死んで『ねぇ。』」




「いやでも血の水溜まりが『気のせいだ。』」




「…そうか。」





「そうかじゃねーよ!
お前まで何言ってんだよ!」





「銀時。
お前も同じ目に合わせてやろうか?」





ひどく楽しそうに高杉が言う。




「お前、それさっきのことわざとだって認めたようなもんだぞ。」




銀時はつっこむことに疲れた。




(もう寝よう。)




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「そんな格好で寝たら風邪を引くぞ、銀時。
今お前の布団持ってきてやるから、頭を痛めないように高杉に膝枕してもらえ。」








「「はあ?!」」




「おい待てヅラッ!
何で俺がこんなやつにそんなことしなきゃならねぇんだ!」




「俺だってお前の硬い膝なんて願い下げだよバカヤロー!」




「何だ、照れているのか。」




「どこをどう間違えたらそうなるんだよ!」




銀時が耐えきれず言った。




だが高杉は疲れて何も言わない。





「可愛いやつらだな、お前たちは。」




銀時ももう何も言わなかった。




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桂が布団を持ってくると、銀時はすぐさま潜りこみ寝た。




坂本は桂が毛布をかけたが相変わらずの状態で放置されている。




起きているのは高杉と桂だけだ。




「高杉、お前は気づいていたか。
坂本が強硬な手段を使っててでもこうして四人を集めた理由。」




ちびちびお酒をのみながら桂が言った。




「さあな。
だがどうせ大方銀時絡みだろ。」




「そうだ。
この間銀時の隊の者が大勢亡くなっただろう。
それで坂本は銀時が心配だったのだ。
あいつはめったに弱音を吐かないからな。
だから少しでも銀時が元気になるようにとバカなりに考えた結果だ。」




「確かに、銀時は何でも一人で抱え込む癖があるな。」




「お前も銀時が心配だったろう。」




「別に。」




「銀時もひどいケガを負わされ、その後勝手に動いてあの天人どもを消したのはお前たち鬼兵隊だろう。」




「知ってたのか。」




高杉は桂を一瞥した。




「なんとなくそう思っただけだ。」




「…珍しくお前はあの時何もしなかったじゃねえか。
何故だ。」




「お前があの場に居たからな。
どうせ勝手に動いているだろうと思ったから手を出さなかった。」




「俺が動いてなかったらどうする。」




「…それは考えてなかったな。
ただ銀時があそこまでのケガを負わされたのだ、絶対にお前が動くという確信があった。」





「そうかよ。」




「つまるところ、俺もお前も坂本も銀時に甘いからな。」




高杉は否定しない。




更に桂がいい募った。





「俺はあいつがわがままに育たないか心配だ。」




本気でそう思っている様子の桂。




「お前は銀時の母親か?」





高杉はひたすら呆れている。




「む?
違うぞ。
性別的に俺はお父さんだ。」




「そういう問題じゃねーだろーが!」




「じゃあどういう問題だ。
お前がお父さんになるか?
仕方ない、俺が母親で譲歩してやろうじゃないか!」




その誇らしげな顔を、高杉はつい殴りそうになった。





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坂本が目覚めたとき、熟睡している3人が目に入った。



「気持ちよさそうに寝てるぜよ。」



その寝顔を見ながら思ったのは、この先の未来だ。




(この戦争がおわったら、きっとおまんらは別の道を行くぜよ。
じゃが、それでもわしらの道は繋がっていて欲しいと思うんじゃ。
この先どれだけ道が違えてもわしらの心はきっと、

何度だって繋がる、そう思うんじゃ。)




坂本は自分の寝ていた床を見た。



「あり?
血だらけじゃき、あははははは!」









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