いつかは・・・
「これめちゃ可愛いアル!どうアルか?新八!」
「あ、本当だ!やっぱり神楽ちゃんは暖色系が似合うね」
「柄がどっちが良いか悩むネ・・・銀ちゃーん!選んでヨー!」
「もう銀さん疲れたから無理・・・」
季節が変わり、肌寒くなってきた朝晩。風邪を引く前に新しい寝間着を買えとせがむ神楽に連れられて、銀時は歌舞伎町のとある仕立て屋に来ていた。
「やっぱり神楽ちゃんも女の子っすね。嬉しそうに買い物して」
「買い物すんのは構わねぇけどよ、時間かかりすぎなんだよ」
「買い物に限らず、女の人は何でも時間かかりますよ」
神楽が買い物している姿を近くの休憩所から眺めている2人。ぐったりした銀時とは対照的に、店員と話をする神楽は楽しそうだ。
「はぁ・・・買い物ぐらい1人で行きゃ良いのによー」
「それ神楽ちゃんが聞いたら怒りますよ?せっかくなんだからもっと楽しみましょうよ」
「楽しむっつったって、俺は何にも買う気ねぇし」
「そのうち、銀さんとは買い物行かないとか言うようになるんですから。今のうちですからね」
「・・・何言ってんだよ。俺はあいつの父親でもなんでもねぇっつーの」
『銀ちゃんと買い物行きたくないネ。ついてこないでヨ』
新八に言われて、ふと頭に浮かんだ未来の神楽からの一言。それは想像であるにも関わらず、心にグサリと刺さった。
「・・・・・・」
「・・・、?銀さん?」
スッと立ち上がった銀時が「俺も自分の寝間着探す」と言いながら仕立て屋の中に入っていった。少し焦ったような後ろ姿を見つめ、クスリと笑みを零す新八。
「銀さん相変わらずだな。そっちは女性用コーナーなのに」
銀時は男性用コーナーと書かれた場所の反対側にある、女性用コーナーに足を運んでいた。
「まぁ・・・神楽ちゃんがそんなこと言う日は来ないと思うけどね」
そんなことを考えた、秋の始まり・・・
end...