父の日2
「何が良いと思う?」
「んー・・・」
歌舞伎町にある商店街。そこには父の日フェアと書かれた、のぼりがいくつも飾られてる。商店街のなかでも、一際賑やかなお店に新八と神楽は居た。
「これはどうかな」
「新八が考えそうな物アルな」
「ちょっと、それどういう意味」
「普通プレゼントに眼鏡拭きは贈らないネ」
「眼鏡拭きじゃねェェ!!ゴーグルの曇り止めだよ!!だって、坊主さんはゴーグル着けてるじゃん!」
「ゴーグルの曇り止め・・・すなわち眼鏡ふきアル」
「違うよ!!」
全然違う!と新八が主張するも、メガネ拭きも曇り止めも視界がよくなるという点で同じだと主張する神楽。新八の説明もそこそこに、神楽はすぐに違う商品をみつけて話題を変えた。
「それよりコレはどうアル??」
「それ・・・さすがに坊主さんは着ないと思う」
「えぇー。私なら似合うのに」
「神楽ちゃんの買い物に来てるんじゃないからね;」
神楽が出してきたのは綺麗な柄のチャイナ服。誰に聞いても、父の日にプレゼントするよう
なものではないと答えてくるだろう。
「じゃあコレはどうかな。きっと坊主さんも、お酒とか飲むだろうし」
「コレなら良いネ!」
「あ、2個セットだから1個は神楽ちゃんの分で親子2人でお揃いにしたらどうかな」
「それは嫌アル」
「え」
「コレは却下するネ」
「ちょっ、どんだけ嫌なの、坊主さんのこと」
「新八の想像以上ヨ」
「あ、そう・・・」
ならば今、父の日のプレゼントを買いに来ている意味があるのだろうかと言いたくなった新八。しかし、あげる気はあるのだが照れくさいのかもしれないと解釈した。新たに商品を探す神楽の目は、真剣だからだ。
「じゃあ・・・これなんかどう??」
「何アルか?コレ」
「これはね、傘の取っ手部分に着けるカバーだよ。今はいろんな柄があるし、神楽ちゃんといえば傘かなって思って」
「でもパピーの傘は私のみたいに持ちやすく曲がってないネ。パピーのは真っ直ぐアル」
「そっかぁ・・・あ!真っ直ぐなやつあるよ!」
「まじでか?!私それが良いネ!!選ぶアル!」
さすが歌舞伎町の商店街と言ったところだ。今や宇宙からやってくる天人のための商品も充実している。
「コレにするヨ!今使ってる傘の柄の色と似てるけど、パピー気に入ってるって言ってたネ」
「うん、その色いいね!」
神楽が選んだ色は紺青色。文字通り、紺をベースに青みを帯びた色だ。
すぐさまレジへと持っていき、ラッピングされたものを受け取る。店員に見送られながら、店を出た。
「あとはそれを送るだけだね」
「うん!でも、もう1人分買ってからアル!」
「あの人には何が良いかな?」
「甘いものしか思い浮かばないネ」
「そうなんだよね。でも昨日めちゃくちゃ買い込んでたし・・・」
「じゃあこんなのどうアルか??」
神楽が背伸びをして、新八に耳打ちをした。
「それいいね」
「えへへ。やっぱり定番が一番ヨ!」
「よし!じゃあそれ宅配便で送ってから、今のうちに帰って準備しよう!」
駆け出した足は嬉しさに比例して速度を増し、商店街を駆け抜けた。
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