クリスマス番外編
江戸が浮かれている。
もう何度か船上で過ごしてきたこの時期。どうせ今年も、木島が中心となって艦内が無駄に飾り付けられるのだろう。
「晋助さまぁ、またアイツから手紙が来てるッス」
俺の部屋に入り込み、中を飾り付けようとする木島を追い出して、俺宛の手紙を受け取った。
誰もいなくなった部屋で、封筒を開ける。
この時期になると必ずこいつから手紙が送られてくる。1度も返したことがないにもかかわらず、毎年毎年、送ってくるのだ。
今年で何通目だろうか。
「・・・フン、」
一通り読み終え、手紙を捨てようとゴミ箱の前で足を止めた。
「・・・・・・」
「晋助、また天人が交渉に来ているでござる」
部屋の外から、万斉の声がする。次の会合を知らせに来たのだ。
「あァ、待たせとけ。今行く」
万斉を先に行かせ、手に持っていた手紙をゴミ箱・・・ではなく、引き出しの中にしまった。同じ封筒が何通も連なっているそこに、今日の分を加える。古い引き出しをガタつかせ、無理やり閉めた。
何通か引き出しに挟まってしまったことなど目もくれずに、そのまま自室を後にした。
『低杉くんへ
ワシは今宇宙の端の端の国で商いしゆう!ここは、まっこと平和ぜよ!やっぱり平和が1番じゃ〜。そういえば、最近地球で風邪が流行ってるって聞いたき。天人の風邪菌には気を付けた方がええ!特におまんは風邪っぴきさんじゃったき。薄着はいかんぜよ〜?
ではまた。
PS.
たまには返事下さい。
PS.のPS.
メリークリスマスぜよ!』
end...