予防接種
病院の待合室にて
「ちょっと、なんで2人とも僕の方に寄ってくるんですか。わざわざ3人並んで座らなくても空席だらけでしょ」
「うっううるせーな!おおお俺は此処に座らなきゃならねぇッ、ききき決まりなんだよッ運命なんだよ!」
「私別に理由はないアル。でも昨日の夢枕に私のパピー出てきて、此処に座らないとパピー天国行けないって言ってたから座ってるだけネ」
「神楽ちゃんのお父さんまだ生きてるじゃん、昨日手紙来てたじゃん喜んでたじゃん」
「文句があんなら、てめぇが移動しろよ新八!」
「さっきから移動しようとしてるでしょ!?なのにアンタらがちょっかい出してくるから移動出来ないんだよ!」
「そうやって出来ないことを人の所為にするんじゃないヨ!!」
「誰この子!?」
「そうだ!お前坂田家代表として全員分の注射受けて来いよ!」
「なんで1人で3人分の予防接種受けなくちゃいけないんですか。聞いたことありませんよそんな話」
「お前何にも知らねぇからンなこと言えんだよ!今年の奴は去年とワケが違ぇ!!今年はすっげぇ痛いって噂なんだぞ?!」
「えぇ・・・?どれも一緒ですよ」
「そーやって余裕ぶっこいていられんのも今のうちだコノヤロー!」
「注射如きで大げさな・・・」
「そうヨ銀ちゃん、注射なんて爪の間に針が刺さるよりは痛くないアル」
「痛ッ!!それ痛ッ!!」
「てめぇ神楽!お前はどっちの味方なんだよ!」
『坂田さーん、ご家族の方も一緒にどうぞー』
「あ、はい!・・・ほら、行きますよ!」
「銀ちゃん早くするヨロシ。大人のくせにだらしないネ」
「そこまで言うんだったらてめぇが先に打ってもらえ神楽!」
「銀ちゃんは、でっかいお子様アルなぁ」
「黙って行け黙って!」
◆
「・・・」
「・・・・・・」
「だっていきなり針刺してきたアル。正当防衛ヨ」
「おまッ・・・!?なに医者殴って気絶させてんのぉぉ?!!」
「思ったより痛かったネ、医者は患者の痛みを知ってこそ本物の医者に近づくアル」
「その前にてめぇは人を傷つけた心の痛みを知れェェ!!!」
「ちょッ、誰かお医者さん呼んでェェ!?!」
end...