ウィン



台風。

葉を大きく波立たせ、巨木を倒す。四方八方から来る横殴りの雨に、傘など役に立たない。

自然の猛威を前に、生き物は無力だ。自分の乗る船艦は左右に激しく揺さぶられ、何かに掴まっていないと立つことすらままならない。

そんな暴風雨の中、甲板に降り注ぐ雨風全てを全身で受け止めている俺はただの愚か者か、酔狂な奴か。

いずれにしろ、今の俺には好都合だった。



「晋助さまああ!!!大丈夫ッス!!まだ間に合うッスよ!!!ちょっ、雨ヤバッッ!?!」

「私は高杉さんを止めたりはしませんよ、またこさん。今更手遅れです」

「またこ殿、無駄でござる。晋助から伝わるのは怒りのメロディー・・・とても抑えることは出来ぬ」

「何諦めてんスか!!?さっさと船内に晋助さま入れないと風邪引いちゃうッスよ!!」

「あの方に心配など無用でしょう。あの睨みを利かせれば風邪菌が逃げていきます」

「拙者も同感でござる」

「言ってる場合か!!しっ晋助さまああ!!!またこも、お手伝いさせて欲しいッスー!!だからッ、ハロウィンには今から準備すれば大丈夫ッス!!!間に合うッスよー!!!!」










忘れてたわけじゃねェ。何となく日々を過ごしてたら、明日だったってだけの話だ。

だが、気にくわねぇ。明日なんざ来ねぇように台風で江戸壊滅しやがれ。


ハロウィンなんざ
クソくらえ。







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