えり


まだ19時を過ぎたばかりだが、冬の空は真っ暗だ。


今日は仕事で、らしくないミスを犯した。いつもの自分ならこんなミスはしない・・・なんて言い訳を考えている時点で、大人としてなんの進歩もしていない気がした。


明日も1人で仕事。いつもは考えない後ろ向きな感情が小さな溜息となって零れた。


雪崩のように押し合う人の流れに身を任せ、電車を降り、階段の上り下りを繰り返す。乗り換えのため別のホームに移動し、再び電車に揺られた。

景色が地下鉄トンネルの暗闇に吸い込まれるまで眺め、数駅先を目指した。時間通りに着いた電車を下車し、人の波にのまれながら改札を出る。

輝くネオンと町の誘いに気を取られることなく、足早に向かう場所があった。


彼らが待つ、万事屋だ。


きっと今日も、大して豪華とは言えないご飯があって、面白くないテレビは、ただ映像を垂れ流すだけの箱にすぎなくて。酒も甘いものも何もない。


だけど


「たでーまぁっと・・・」

「おかえりなさーい」
「おかえり銀ちゃん!」


ただいまと言えば、おかえりのと返してくれる人がいる。



明日も、きっと・・・がんばれる。




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