死ぬ間際にでも

明かそうと思う










3











「・・・かむい・・・・・嫌アル」

「・・・」

「行かないで・・・昔みたいに、ずっとここに居てヨ」

「・・・・・」

「ぱぴー・・・そのうち帰ってくるネ」

「・・・・・」

「だか、ら・・・っ・・・・・だから・・・っ」








「お前もいつかわかる」
(わかって欲しくなんかない)


「俺達は戦闘種族・夜兎だ」
(俺は血と本能に食われた
ただそれだけの、お前の兄貴)


「戦場でしか生きられない」
(そんな俺の居場所は、
戦場しかないんだ)


「俺の渇きを満たす奴は、
この星にはもういない」
(この渇きを満たさなければ
お前の傍に居てやれない)


「弱い奴に、用はない」
(お前を手に掛けてしまう前に)


「俺は此処を出る」
(俺は此処を出る)










今日も曇天の空から雨が降っていた。


また神楽は傘を差さずに、俺のおさがりのレインコートを着て、あの石段に居る。

いつも通り、フードは被っていない。

だが、被せてやるには俺は手を汚しすぎた。


俺が出来ることと言えば、神楽を突き放すことぐらいだった。


いつ帰ってくるかわからない父親も兄貴も、もう待たなくて良い。


そう言いたかった。











「待ってるアル」


「!」


「ぱぴーも、かむいも・・・ずっと・・・この場所でっ」


「・・・・・」


「かむい・・・っ、帰ってくるの・・・・・っ待っでる゙ア゙ル゙!!!」


「・・・・・っ」




その一言を聞くまでは。










今日は、いつにも増して

雨がよく降っていた
















「・・・・・」


歌舞伎町の町に、お昼の時間が近づいていた。母親と共に帰宅する子供たち。また、神楽が眺めていた兄妹も公園を後にした。

「・・・あの時より、強くなったアル・・・ずっと、心が強くなったネ」


酢コンブの空箱を、ベンチに座ったままゴミ箱に投げ捨てた。


「・・・私もお腹空いたアル」

ぐぐぅ・・・と鳴ったお腹をさすり、日陰で休んでいた定春を呼び戻す。


「定春ぅー、帰るヨー」

「わんッ」

「良い子ネ」


買い物袋を抱えて、定春の背中に乗った。柔らかな毛並みが、より乗り心地を良くしている。


「・・・・・定春に良いこと教えてあげるネ」

「わふッ」

「お腹が空いてるときには、何食べても美味しいんだヨ?」

「わんわんッ」

「でもね、・・・その中でも鮭のふりかけご飯は最高アル!」

「わんッ」

「だから今日のお昼は鮭のふりかけご飯食べるヨ!新八ばっかり美味しい物食べるのズルいネ!あ、家のふりかけ湿気てるかもしれないから、買って帰るアル」


だって、だってさ


「私も銀ちゃんにふりかけご飯作ってもらおっと」



家族の手料理ほど
美味しい物はないんだから・・・






end...







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