「あー!!!銀さんどこ行ってたんですか?!」

「何してたアルか?!いつまでも帰って来なかったから心配・・・はしてないけどな!!」

「銀さん帰って来ないから神楽ちゃんがデザート全部食べちゃいましたよ!!」

「なんで全部私の所為にするネ!!新八だって1個多くお魚食べたじゃんか!!」

「あ?!神楽ちゃんそれは言わない約束でしょ?!」

「私は言っても良いっていう約束だったヨ!!」

「なんで自分に都合の良い約束なんだよ!!本当そういうとこ銀さんにそっくりだよ!!」

「失礼にも程があるネ!!私はこんなむさ苦しくないアル!!」


「あー五月蠅ェェェ!!!!」


ちゃっかり別室の高杉の仲間やらなんやらに修理代等を請け負わせ、店の人に案内してもらい2人の居る所に戻ると、案の定色々言われ一気に五月蠅く感じた。

言い合いをしている2人の間に割って入り、最初に座っていた自分の席に着く。


「!銀さん、頬の傷どうしたんですか?」

「あ!!喉から血が出てるヨ!!」

「あ?あー・・・これは、だなぁ・・・」


血は拭ったはずだったが、まだ滲んできてしまっていた。どう説明すればいいか戸惑う銀時。


「どうせ部屋間違えて女の人に御盆でも投げられたアル!」

「トイレのドアにぶつけたんじゃないですか?」

「・・・・・」


なぜか楽しそうに笑いながら怪我の原因を探る神楽と新八に一発殴ってやろうかと拳を作る。だが部屋に入った瞬間2人を見たときに感じた安心感を思い出し、握りしめた拳を広げた。

「ほら、ちゃんと銀さんのためにとっておきましたよ」

「感謝するネ!」


2人の手で次々と目の前のお皿に乗せられる料理。その味は、きっと忘れられないものになるんだろうと、らしくないことを頭の隅で考えていた。









「すぅー・・・・すぅー・・・・」

「・・・・・」

新八も家に戻り、眠そうな神楽を連れて万事屋に戻った。着いた時にはもう、半分夢の中に居た神楽を寝かせ、肩まで布団を掛けてやる。


ちゃんとここに居る。


それを確認するかのように、神楽の頭をぎこちなく撫でてから襖を閉めた。

電気を付けていない万事屋は暗く、ほとんど見えない。だが今の銀時にはそれが丁度良かった。自分の寝室に入ると、より鮮明に思い出されるさっきの隻眼の男とのやり取り。


「何であんなこと言ったんだか。・・・ぶった斬るっつったのによ」


小さい声で呟かれたのは、今まで口に出せなかったことを高杉に伝えたために出てきた本音。


悲しい?悔しい?


そんな言葉はどれもあやふやだった。


「・・・・・・」


ただ、高杉に刀を向けられず、その代わりに受けた傷と言う名の代償は体に負った物より心に負った物の方が大きい。


「はぁ・・・・・・」


深くため息を吐いて、布団に寝転がり眼を閉じた。夢の中だけでも、4人と…先生と一緒に笑っていられるようにと願って・・・。



end...








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