「おぉー!!高杉!やっと来たか!」

「どけッ!!」

「痛ッ!!?・・・なっ何じゃ?!ワシなんかしたがか!?」






こころ 2






戦の中心で戦う4人の男。

彼らの勢力は衰えることなく、敵を圧倒していく。

自分の区域を勝利で治めると、仲間の元へ駆けつける。この団結力は、過去に攘夷戦争で活躍していた英雄達にも劣らないものだった。


「銀時!!お前は無茶をし過ぎだ!!敵の中心部に1人で乗り込むという案は、一昨日の作戦会議で却下しただろう!!」

「体が動いて気付いたらド真ん中に居たんだよ!文句あるか!?」

「大ありだ馬鹿者!!川の先にあるお花畑にでも行きたいのか貴様!!」

「それならッ、大事な墓に飾る花摘んで還ってくるって・・・のッ!!」


互いに背中を預け、自らの手で道を切り開くように遮る天人を斬っていく。


「銀時!!」

「あぁ!?」

背中合わせになり、桂が銀時の名を大声で呼んだ。


「あとで・・・高杉と鬼兵隊から話を聞く。お前も言いたい事があるだろう」

「・・・これだから世話好きな奴は嫌いだ」


それだけ言葉を交わすと再び天人に向かって斬りかかった。



戦場に響くのは

天人の叫び声か、

死ぬ間際の仲間の声か

勇ましく雄叫びを上げる


4人の男達か・・・








「確実に仕留めろ!!!」


銀時達と少し離れた区域で戦う、高杉率いる鬼兵隊。そして坂本部隊も同じ場所で共に戦っていた。


「・・・」

「高杉、今日のおまん何か変ぜよ」


顔に飛び散った天人の血を力強く拭う高杉。一通り天人を斬った坂本が、先程から違和感を感じていたと告げる。


「今は戦の最中だ。余計なこと抜かすな」

「余計な事考えちゅうんはおんしじゃろーが」

「あ?俺がいつ考えたよ?てめぇみたいに1日中馬鹿なこと考えてねぇ」

「高杉こそ1日中考えてることあるろー?」

「言ってろ」

「銀時が『アイツは1日中身長のこと考えてンだぜ?ププーッ』って言っちょったき」

「・・・今そいつの名前出すな」

「え?なんじゃ?」


「出すな、つってんだよッ」


いつもと様子が違うのは始めから気付いていたが、銀時の名前を出しただけで青筋を立てるとは思わなかった。坂本は、高杉が銀時ともめ事を起こしたのだろうと推測する。


「高杉・・・何をそんなに苛立っちゅう。機嫌が良いおまんも、想像出来んけどのぉ!あはははは!!!」


真面目な顔して問い掛けた坂本だが、すぐに表情を崩していつもの笑顔を見せる。高杉にふざけていると判断されボッコボコに叩かれる、2秒前の出来事だった。











「ッあー疲れた!!!」

「・・・駄目だ、事が上手く進まない・・・作戦を立て直さねば」

「ヅラ、取り敢えず川で血流せ」


戦を終え、拠点にしている寺に戻った銀時と桂達。寺の階段に座り込んで、悔しがる桂をなだめた。


「おー!!おまんら戻っちょったか!」


疲労困憊の体に響いた騒がしい声。下に向けていた顔を上げると、大きく手を振る坂本と、彼が率いる隊士達。そのすぐ横にムスっとした顔の高杉と鬼兵隊が見えた。

寺に着くと、それぞれ隊に休むよう声をかけた。


「ワシらより早かったのぉ!さすがじゃ!」

「そういうお前は遅かったな。傷も多い、早く手当てしておけ」

「この怪我は高杉が大半ぜよ。あいつは手加減無しじゃき・・・あ!噂をすれば!」


銀時と桂に怪我の説明をしていると、隊に声掛けを終えた高杉を見つけた坂本。こっちに来るよう呼びかけたが無視を決め込んでいる。

しかし有無を言わさない坂本によって無理やり引きずられ、連れて来られた。


「てめッ!?離せッ何しやがる!?」

「仲直りに決まっちゅう!」

「なッ!?ふざけんなッ!!」

「根に持つ男は嫌われるき!」


坂本の馬鹿力で2人の前に押し出され、怒鳴る高杉の肩に手を回し、なぜか上機嫌の坂本。


「ッ・・・このクソもじゃッ・・・」

「高杉ぃ」

「!」


高杉は肩に回された坂本の腕を振り払おうともがいている。そんな2人のやりとりを階段に座って見ていた銀時が口をはさみ中断させた。

「・・・俺はこれっぽっちも気にしてねぇし、むしろどーでも良い・・・つーか関係ないと思ってるって言うか「はっきり言え、銀時」・・・」


何度も言い訳を繰り返す銀時に、しびれを切らした桂がバッサリ言い放つ。


「ヅラがよぉ・・・お前と鬼兵隊の奴らから話が聞きたいってよ」

「ヅラじゃない、桂だ」

「・・・・・・」

「・・・仲間に刀向けたんだ。お前にだってそれ相応の理由があるんだろ」

「・・・・・・」


銀時の言葉に耳を傾けたと思ったが、高杉は坂本の手を払いのけてその場を立ち去ろうとする。


「・・・おい、」

「俺の部屋が血生臭くなるのはごめんだ」


それだけ言うと3人を置いて1人救護班へと向かい、手当ての道具を受け取って寺の中に入って行った。


「血洗い流して部屋に来い・・・だってよ」

「まったく、お前も高杉も世話が焼ける」

「うっせーな。お前が勝手に世話焼いてるだけだろ!」

「これでぜーんぶ解決するのぉ!あはははは!!」


坂本の笑い声が夕焼けの空高くに響き渡った・・・



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