「…ねぇ、シグレ」
「はい!マスター」
「…?……どうしてそんなに嬉しそうなの?」
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僕のマスターは不思議な人で、何を見ていたのかと尋ねれば「…空気の色をみていた」とか「…風の流れをみていた」と言うような答えが返ってきたりスル。
また、何を聞いていたのかと尋ねると「…雲の音を聴いてた」とか「…時間の経過を聞いてた」と言うような答えが返ってきたりスル。
僕のマスターは彼女、ただ1人だけだから他の人間はよく知らないが、多分マスターは変わっているのダロウ。
たまにマスターの顔見知りのような人間と町で出会ったりスルガ、彼等は皆、決まって彼女を得たいの知れないモノを見るような目で見ル。低脳なヤツなんかは陰でコソコソと不愉快な事を言い合ったりもスル。
その度になみのりをかましてやろうかと思うのダケド、マスターが「何も気にする事はない」と制止するので、この憤りをぶつけることは未だかつて一度もナカッタ。
何故マスターは怒らないのか、と以前尋ねたことがあったガ、逆に「何故怒るの?」と聞かれてシマッタ。
マスター。
マスター。
僕のマスター。
呼べば応えて
貴女が付けてくれた
僕の名を呼んでくれるケレド
貴女は僕と違うセカイに
立っているヨウデ…
ダカラ
貴女の方から僕の名を呼んでくれる事ガ
堪らなく嬉しいのデス
貴女のセカイに確かに僕は立ってイル
同じセカイ・終