とあるホテル。
ポケギアを片手に、紅い瞳を細めながらエーフィの頭をなでる青年が一人。
「そっかぁ、今キッサキにいるんだぁ。教えてくれてありがとう〜!」
電話の相手は三言くらい話すと別れの言葉を口にし、電話を切った。
「……ふふ」
ポケギアをベッドサイドに置き、自然とにやける頬に手を当てる。
嬉しい。
やっと…やっと、あの子の居場所が掴めた。
6年前、突然ポケモンと旅に出ると家を飛び出した最愛の妹。
「クゥ?」
エーフィが不思議そうにこちらを見上げる。
「そっか、君達はまだ会ったことないんだよね」
青年はそう語りかけると、ばふりと良い匂いのするベッドに横になり、撫でていたエーフィを腹の上に乗せた。
「ん?ふふふ…会ってからのお楽しみだよ」
首を傾げたエーフィの額の玉が輝く。
「明日から急いでキッサキに向かえば追い付くかなぁ…」
でも空を飛ばれちゃうとなぁ…とぶつぶつ、けれどもとても楽しそうに1人ごちる主を、エーフィは大きな瞳で眺めていた。
君を追って・終