「ほっ!…よっ!」
風も涼しくなった夕刻、キッチンで上の棚にあるビンをとろうと一人ぴょこぴょこと奮闘する。椅子を持ってきて踏み台にすれば何も問題なく取れるんだろうけど特性のめんどくさがりが出て今にいたる。
「…ねーちゃん何やってんだ?」
ソファーで寝転び雑誌を読んでた砂響が呆れたように背もたれから顔を出した。
「ちょっとね、あのビンをとりたいんだけど‥ふっ!」
おかしいな。ジャンプ力には少し自信があったんだけど。
「しょーがねーなー、オレが取ってやるよ」
ぴょこぴょこエビのように跳ねる私がおかしかったのか、砂響はくしゃりと笑って席を立った。
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「ほ、ほら砂響元気だして!」
ソファーで体育座りをし、顔を埋める砂響の肩を叩く。
「うー…くそーちくしょー」
わー、結構ショックうけてるわ。
あの後ビンを取ってくれようとジャンプしたは良いものの、少しミスをして目的以外のビンを数個落としてしまった。結果割れたビンは無かったんだけど…。その理由が彼を凹ます事になった。
「テーセーってずりぃよなー…背は高ぇし色々知ってるしなんか大人だし…」
冷蔵庫に用がありキッチンに顔を出した定正が見事に落下中の全てのビンをキャッチ。「あー、大丈夫です?どこもぶつかってません?」と砂響の頭を撫で大人の余裕(?)を発揮