死んでしまうかと思うほどめんどくさいので帰ってもいいですか


「ダメだ」

「だってあたしやることないじゃん。跡部のこと見てるだけじゃん時間の無駄じゃん」

「お前俺のこと見たのかよ。気持ち悪いやつだな」

「ははは 跡部くん。君 最高にムカつかせてくれるね」


一般生徒を生徒会室に連れ込んでなにすんのかと思えば、ただ黙ってソファに座ってろと跡部は言った。初めて入ったから最初はうろうろしたり無駄に高そうな花瓶とか絵とか物色してたけど3分もしないうちに飽きて、大人しくソファにダイブした。それから小一時間。跡部はもくもくと生徒会の仕事をしてるだけであたしに一切関与しない。帰りたくもなるわな


「とゆうわけで帰るね」

「ダメだっつってんだろ。てめえの耳は飾りか?大人しく座ってろ馬鹿」

「馬鹿じゃありません。あのね跡部。気づいてないかもしれないけどこれは立派な軟禁です」

「ああん?んなわけねえだろ」

「軟禁されてる本人が軟禁だって言ってんだからそれは軟禁なんだよ」

「軟禁軟禁うるせえ」

「あたしがここに在るべき正当な理由があればもう言わない。大人しくここに居る」


どうせお坊っちゃまの暇潰しだ。携帯を開けばママからまだ帰らないの?帰ってくるならネギ買ってきての指令。ほらあたし帰らなきゃ。ネギを何に使うか知らないが母がネギを待っている。今から帰るから待っててママ


「跡部 あたし帰るから」

「待て」

「暇潰しでしょ じゃあね」

「銀河」

「ネギ買わなきゃだからさ」

「ネッ?!ネ ネギと俺様どっちが大事なんだああん?」

「ネギ」


いやいや落ち込み過ぎだよ跡部くん。そしてさようなら跡部くん。お仕事がんばってください


「…まて 銀河」

「しつこい」


あたし戻る気ないよ。だって片足廊下に出ちゃってるしメールだって送信ボタン押すだけだもん。偉そうに腰かけた跡部は、難しい顔をして腕をくんだ。え、偉そうにしといてなに目そらしちゃってんの。おいこらこっち見やがれ


「…寂しいだろ」

「え?なに?聞こえない」

「この俺様に寂しい思いさせんじゃねえっつってんだよ!銀河の分際で!」

「え やだ不覚にもかわいい」

「ぶっ殺すぞ」

「うわ 赤くなってる」

「ッ もういい!帰れ!」

「かっわいー」


なんだこのかわいい生き物は。相変わらず口は悪いがかわいい。どうしたんだ跡部景吾。わざわざ大きな声で文句いわなくてもいいよ聞こえてるから。踏み出した片足を引き戻し、メールはごめんなさいネギは自分で買ってと打ち直す。かわいい彼氏のために人肌脱いでやろう


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