さみしくてしぬ今すぐあいにきて。頭の悪い文面に眉を潜めて、見なかったことにした。だいたい今は夜中の2時だ。そんな危険な時間帯に出歩かせようとするブン太はやっぱりずれてる。彼氏に寂しいって言ったらどこに居ても会いに来てくれるよ。そう言ってノロケていたのはあたしの友人すなわち女子だ。あたしたち性転換した方がいろいろお互いのためなのかもしれない、とよく思う。我が儘なブン太に振り回されてばかりのあたしと、甘えん坊なブン太。そんなんだから上手くいってるといえばそれまでだが、うんざりする時だってある。ケイタイのバイブが鳴った。電話だ


「…………もしもし」

「さみしい」

「行かないからね」

「なんで。会いにこい」

「寂しいとか言ってるくせにすごく偉そうだね」

「…あいにきて」

「今何時だと思ってんの?そんなん言うくらいだったらブン太がくればいいじゃん」

「無理。外くらい」


なにそのまるであたしの家の回りは明るいだろ、みたいな言い方。同じ神奈川なんだから時差もくそもないっつうの。それでも男かと怒鳴ってしまおうかと思ったけど、深夜2時のあたしにそんな体力あるはずなくて断念した。電話、出なきゃよかった…。後悔してもあとの祭。受話器越しに泣き出したブン太の鼻をすする音に肩をおとした


「俺のこと 好きじゃねえの」

「好きだよ」

「じゃあ来て」

「明日の朝練一緒にいってあげるから 今日は我慢して」

「……やだ 今がいい」

「じゃあ そうゆう事でおやすみブン太。早く寝るんだよ」

「だめ 切んないで。俺がさみしくて死んでもいいのかよ」

「あんまり我が儘ばっかり言ってると嫌いになるよ」


いやだ!銀河の馬鹿野郎嫌いになるとか言うなよ!キィンと鼓膜に響くブン太のヒステリックな喚き声に眉間のシワが増える。犬みたいに吠えてるブン太に適当に謝ったら、俺のこと嫌いになった?と弱々しい声。嫌いにならないよ、ブン太がいい子にしてくれたら。いい子にするから嫌いになるんじゃねえよ、としゃくり上げながらブン太は言った。こうゆうとこうざいけどかわいいんだよねー


「…あした 朝待ってるぜい」


あ、覚えてたの。泣いても喚いてもちゃっかりしてるブン太がおかしくて、あたしは思わず笑ってしまった。なんて女々しくてかわいい彼氏なのだろう


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