物欲しそうなその目が気に入ったから公僕にしてあげる。悪友丸井ブン太がケーキを貪る姿を穴が開くほど見つめ羨ましがっていたあたしに、いきなり現れた幸村精市からの申し出。頭大丈夫?
「幸村のこと物欲しそうな目で見てたわけじゃないし」
「え 嬉しくないの?」
「嬉しいと思うと思ってるお前が理解できないんだけど」
「普通の女子は泣いて喜ぶよ」
「普通の男の子は女の子に公僕とか言わないの」
「ズレてるね」
「あんたがね」
「ねえ丸井。そのケーキ 1つちょうだい」
「え あ うん… はい」
「あたしには一生のお願い使ってもくれなかったくせに」
「銀河の一生のお願いはあんま価値ねえからな」
「なにそれひどい。人の一生を何だと思って… って幸村食べないの?」
「銀河が俺に一生のお願いしたらあげてもいいよ」
「いい。いらない。一生分の不幸を背負わされそうだ」
「ほら 公僕らしく跪いて『幸村様不憫な家畜にどうかご慈悲を』って言いなよ」
「すごいね幸村。同級生の女の子にそんな事言わせる中3ってなかなかいないよ」
「言ってくれるのかい?」
「言うわけねえだろアホ。ブン太 悪いこと言わないから幸村と遊ぶのやめなさい」
「俺は幸村くんと渡り合えてる銀河もなかなかだと思うぜい…」
宇宙人に挟まれた少年B