じめじめした季節になった。テニス部のマネージャーやってる時くらい不快指数マックスだよ。ブラウスが肌に張り付いて気持ち悪い
「お 日吉だ」
よしよしこれでストレスが発散出来そうだ。あたしの餌食になる後輩の背中に、こっそり近づいた。本読んでる。根暗め
「わっ!」
「うるさいんですよ 一々」
「なにその反応つまんない。てかお前の小言の方がうるせーよ」
「…………」
「シカトかおら」
まじでつまんない。こんなつまんない後輩いていいの?馬鹿向日のリアクション芸見習ってほしいもんだわ。リアクション部とか、作ったらどうかな。あたしは入んないけど。あたしを完全に無視することを決めたらしい日吉の野郎のほっぺたをつついた。指を逆関節された。ふざけんな
「あれあれ?日吉くん。なんかいつもとちがくない?」
「先輩のウザさはいつも通りですね。尊敬します」
「おいこら日吉。何でも尊敬するって言えば許されると思うなよ」
「向日さんは許してくれますよ」
「あの馬鹿と一緒にしないで」
だがしかし今日の日吉はおかしい。いつもと違う。何が違うんだろうと、日吉の周りを回ってみたけど何かわかんない。ぐるぐるしてたら向こうから大型犬こと鳳長太郎だ
「ねぇ 長太郎。今日の日吉何か変じゃない?」
「え あぁもっこりしてますね」
「え… もっこり…?」
「あんた どこ見てるんですか。殺しますよ」
もっこりって擬音が当てはまる部位といったら股間しか無いじゃん。日吉の股間を凝視したら叩かれた。あたしは先輩だぞこら。にしてもまさかいつもと違う部分が股間だったとはねー。うん盲点だそりゃ気づかない
「やだなぁ銀河さん。もっこりしてるのは髪型ですよ」
「はぁ?」
「日吉の髪は湿気を吸いとることができるんです」
「へぇ 気持ち悪い」
「触らないでください」
長太郎の話によると日吉の髪は雨の日になると湿気を吸って、3割増しになるらしい。ましてや今は梅雨。そりゃもうもっこりもっこりらしい。気持ち悪いけどおもしろいからみんなに教えてやろう
「あ?何だよ。日吉 お前もっこりしてねぇじゃん」
「どこ見てんですか」
「日吉は雨の日に勃つって銀河が言ってた」
「………」
一週間日吉に無視された