自らの意欲関心の範疇から外れた事柄を強制的にやらされることほど、人間にとって苦痛なことはない。あたしがなにか神様の怒りに触れるような粗相をやらかしてしまったなら、まだ罪滅ぼし程度のやる気がうまれただろうけど、今回のケースは理不尽かつ横暴だ。あたしは氷帝テニス部のマネージャーだ


「ドリンクまずいんだけど」

「知るか。文句言うくらいなら飲むな自分でつくれ」

「はぁ?お前マネだろ。甘えたこと言ってんじゃねぇし」

「はぁ?誰がいつマネになりたいっつったよ。今ここに存在することにあたしの意思は一切ない」

「屁理屈言ってんじゃねぇよ。まじでお前かわいくねぇな。それでも女?」

「あんたに可愛いとか思われたくないし。てか女だし。その目は飾りか?ばぁか」

「んだと このばか女」

「え?なに聞こえない。あ ちなみにあたし中間試験1位ですけど何か?」

「だー!まじムカつく!」


自分のことは自分でする。これはあたしの家の家訓だ。産まれたときからこの理念のもと様々な経験を積んだあたしは、誰かのためにしかも無償で、献身的に奉仕するとゆう感情が育たなかった。手助けはするけど、なるだけ自分でやりなよ。あたしがよく冷たいと言われる由縁だ。そんなの知らないよ


「おい岳人 いつまでもサボってねぇで練習しやがれ」

「だって跡部 こいつまじムカつくんだって。ドリンクまずいし」

「あんたの味覚でこのドリンクの味を評価しないで。不愉快だから」

「お前何様?」

「銀河様」

「確かにまずいな」

「あんたはセレブっぽいから庶民の味が分かってないだけ」

「おい 銀河。これいつのドリンクだ?」

「昨日の」

「はぁ?!なんで昨日の出してんだよばかかお前!つか俺飲んだし!」

「だってすっごい残ってたんだもん。勿体ないじゃん」

「衛生面考慮しろ!」

「銀河 とりあえず作り直せ」

「なんで?いやだ」

「マネージャーだろ」

「ちょっと また同じこと言わなきゃいけないわけ?向日 あたしあんたに言ったでしょ。跡部に説明して」

「いやに決まってんだろ」

「覚えてないって素直に言えば?」


あたしはドリンクなんて飲まないんだから、飲むやつが作ればいいじゃん。こいつらばかだ


「あの 先輩」

「あ 鳳ってゆう人」

「鳳ってゆう人てゆうか鳳です」

「あー めんどくせぇからこいつに構うな。で どうした鳳」

「俺 ドリンク作っときました」

「ちょ 鳳!こいつ甘やかすなって!すぐ調子乗んだぞ」

「褒めて遣わす」

「ほらみろ調子乗った」

「普通にうめぇな」

「跡部 あんたにも庶民の味がわかるんだね。しょせん見かけ倒しかよがっかりさ」

「あ゙ぁ?」

「あの そろそろ練習しませんか」


正論を言う子は好きだよ


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