serial | ナノ
三成の瞳に赤い筋が、たーー……――くさん這っている。毛細血管がちぎれるんじゃないかと思うほどだった。こめかみには青い筋。赤い筋と青い筋が合体して……って、ああもう意味わからん。
今ほとんどの生徒が授業を受けている。なぜならば今は授業中である。しかしなまえと三成はそんなのはさておき廊下の端に立っていた。人気のない、静かな静かな廊下。
なまえはもう堪えられなかった。
三成は腕を組んでなまえを赤い瞳で見下ろしている。しかも、近い。

「み、三成先輩……こ、こわいです」
「なぜ黙っていた。尼子という身の程を知らぬたわけ者の存在をなぜ黙っていた」

怒鳴り声を抑えたような声だった。

「せ、先輩には関係ないかなぁ……なんて、あはは……ひっ」

なにかが耳をかすめたと思うと、突然耳元から激しい音がしてなまえは肩を震わせた。
三成の拳が壁を殴ったのだ。

「斬首だ」

目が合って、かすかに笑った三成がそう言った。なまえは泣きながら頭を振る。

「そ、そんな! 私まだ死にたくない」
「馬鹿か、尼子をだ」
「へ……?」





放課後。
教室から出てきた尼子の胸ぐらを掴んだのは三成だった。片手には木刀を携えている。生徒たちは悲鳴を上げたり、二人を避けるように離れていく。
尼子は睨みつける三成に動じることもなく、むしろ小さく笑っていた。

「なんか用ですか、石田先輩」
「貴様、ずいぶん余裕をこいているようだな」
「だから、なんの話かきいてんだよ」

尼子の口から敬語が消えた。

「なまえは渡さん」
「ああ、前から気になってたんだ。あんた、なまえのなんだよ」
「貴様には関係ない。もうじき死ぬのだからな」
「ふん、言ってろ。一応、俺も剣の腕には自信がある。やるか?」

尼子はにやりと微笑み、三成は鼻を鳴らした。
ただの無鉄砲が二人、屋上を戦場に変えようとしていた。
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