serial | ナノ
昇降口の端に身を隠しながら、彼が通り過ぎるのを待ち構えていた。
彼、そう、尼子。
……尼子だ。
昨日なまえに唐突な告白をしてきた、あの尼子。いきなり抱きついてきてなんだと思えば、前触れなく告白をしてくるような変人いわば変態だ。
そんな彼に絡まれるのが嫌だから、登校してくるまでここで身を隠してなんとか朝はやり過ごそうと考えていた。
……ぎりぎり遅刻にならない時間に教室に行くことにしよう。というか、隣のクラスにあんな人がいたなんて知りもしなかった。思えばこの学校って変人が多い気がする。こ、小早川とか……。
と、そんな事を考えながら身を震わせていると。

ゴッ

後ろから誰かに頭を叩かれた。叩かれたというより、……殴られた? ものすごく、痛い。いやものすごく、痛い。ああ、こんな仕打ちをするのはあの人ぐらいしかいないだろうな。

「く、い、痛い……」

叩かれた頭を押さえながら振り返ると、どんぴしゃり。仏頂面な三成が立っていた。かばんと一緒に、木刀の袋を担いでいる。この意地悪な先輩はその木刀で頭を殴ったに違いない。

「何をしている」

三成は眉を寄せて言った。

「べ、別になにも」

頭を押さえながら目を逸らした。
なんとなくこの人には尼子とのことを話したくなかった。いろいろと面倒なことになりそうだし、どうせ馬鹿にされからかわれどつかれの連発だろうし。その前に、木刀で頭を殴っといて謝罪のしゃの字もないという所でなにを話す気も起こらなくなった。

「ほう、私に隠し事か」

ふん、と鼻を鳴らす音がした。なにそのすねたような反応は。

「そ、そんなんじゃありませけど」
「けど、なんだ」
「……えっと」

なまえは言葉を詰まらせていると、そこで。

「よーっす!」

という元気な挨拶が真横から飛んできた。
なまえと三成は声のしたほうを見ると、見知らぬ男子生徒が笑顔でそこに立っていた。

……だれ?
まず始めに浮かんだ言葉だった。
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