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今日もいつもと変わらない日で、あたしはいつものように静雄の隣をゆっくりと歩く。



「ねーシズオ。」

「あ?」

「今日、仕事早くあがる?」


お昼休みであろう静雄の横で、嬉しそうに聞く彼女である真央。対して、静雄は申し訳なさそうに言葉を紡ぐ。




「あー、その、な、実は仕事が立て込んでんだ。」


髪をくしゃりと掻く仕草に、真央はふと思った。

‥困ってるよね、


そう確信した真央はまたすぐに笑顔を取り戻して、柔らかく微笑んでみせた。




「そっかー。仕方ないなぁ、会いたかったんだけど‥。また明日にしよっか!」

うまく笑えてんのか、確信はできなかったけれど。静雄の表情が柔らかくなったことで、真央は安堵の表情を浮かべた。



「ありがと、な」


ふわっ、

静雄の言葉と共に、首のあたりがふわりと温かみを感じさせた。


「えっ、し、シズオ?」


気づいたときには、モコモコとした白いマフラーが首には巻かれていて。
びっくりした真央は、顔をあげるが静雄は照れくさそうに目線をずらしている。




「たまたま仕事中通りかかって、手前っぽくて似合うだろうなと思って。 それによ、寒そうだったからな。」


少し頬が赤くなっている静雄をみて、自然と頬がほころぶ。


「ありがと、大事にするね!」


それをみた静雄自身も満足そうに微笑んでいた。




「じゃ、行くな」

「あ、がっ頑張ってね!」

「おう。気ーつけてな。」


時間をみて、彼はそれだけ言って足早にこの場所を去って行った。






「あったかい‥‥」

呟いた言葉は白い息になって、空気と一緒に消えた。


サプライズみたく、もらってしまった突然のプレゼント。
記念日でも、誕生日でもなんでもないのだけれど。


「よし、」

真央は、決意したように自身が持っていたピンク色の可愛らしく包装されたモノを眺めた。


今日じゃなきゃ、
意味がない。

今日じゃなきゃ、
ダメなんだ。





真央は、すぐに方向転換をしてゆっくりと歩き始めた。







「お疲れさん、静雄お前もう上がっていいぞ」

先輩である田中トムに、静雄はキョトンとした顔をする。


「え、トムさん、でも」

「真央ちゃんに会いに行くんだろ? あとは、特に大変な仕事も残ってねーから。」


「‥ッス。トムさん、ありがとうございます。」



静雄は、丁寧にお辞儀をした。
そして、真央がいるであろう場所を知っているかぎりで当たったのが、姿が見当たることはなかった。



「どこだよ、アイツ‥!」





ふと、今日のやりとりを思い出して、いるであろう可能性を信じて静雄はその場所へと足を運ぶことにした。










「シズ、オ?」



なんで、
こんな時間に静雄がいるのか。

彼女は、まったく予想していなかった。




「真央‥!こんなとこで、何やって‥風邪ひいたら、どーすんだよ手前は!」


行き着いた先は、知らないはずがなかった。自分の住む部屋の前、だった。




「ごめん」


真央の言葉などお構いなしに静雄は、彼女を強く強く抱きしめた。



「シズオ」

「冷てぇ‥」


それに真央も迷うことなく、強く抱きしめ返した。





「迷惑だと思ったけど、
やっぱり今日じゃないと意味ないっていうか。今日じゃないと後悔しちゃう気がしてね‥」

「は?」




シズオってば、
何も気付いてないんだから。








「産まれてきてくれて、ありがとう。出会ってくれて、ありがとう。いつも大切にしてくれて、ありがとう。



ハッピーバースデー、シズオ!」




ハイッ、そう言って差し出したピンク色に包装されたプレゼントに静雄はびっくりしたままついていけてないようだ。





「あ、ああ‥誕生日、だったんだよな」

「シズオのばか。」



フッと笑みをこぼす静雄、




「‥!ん、‥ふっ、しっししししずお!!」


不意に重なったお互いの唇に、状況についていけない真央は顔を真っ赤に染め上げた。




「ありがと、な、真央」



静雄の満足げな表情に真央もつられるようにして、笑顔を浮かべた。





「だいすき、だよ」









最大級の愛をあなたに、


産まれてきてくれて
ありがとう。

そう言わずには
いられないのです。









参加させていただきました。
シズちゃん、おめでとう!
今後の活躍も期待してるよ^^


>>シズオは、好きになった人や恋人には優しい表情をし、傷つけるならば容赦しないと思う。さらに、大切にしてとことん優しくて一途で真っ直ぐな恋愛をするんじゃないかな、と思っています。(笑)勝手な妄想みたいな!



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