「全部食いやがってェエエ!!銀さん許さないからなっ!!」
「あたしのモノはあたしのモノ。銀ちゃんのモノはあたしのモノ。これがあたしの戦場を生き抜くためのルールってやつさっ!」
「何そのジャイアン思考ゥゥウ!!!」
フンッと真央は得意気に笑ってみせた。
そうこうしているうちに、全然先に進んでいないことに気づいた新八が口を紡ぐ。
「その辺にして、もう行きませんか。カブトムシいなくなっちゃいますよー!」
「そうだな、行くか」
「うぉおし!カブトムシ採るネ!サダハル28号の仇とってやるネ!!」
気を取り直して、あたしたち万事屋一行は森の中へと足を進ませて行った。
「でも、ホントいるんですかね、カブトムシ」
「いるって!女の勘は鋭いって言うじゃない?」
「‥それカブトムシにも効くんですか‥‥‥」
よく考えてみたら、カブトムシなんてどこにいるんだろう。
ていうか、自然にうようよ出てくるもんなんですか。何か誘き出さないとなのかな?
「にしても、どうやって探すんですか。こんな広いのに‥」
「あたしも思ったー!」
「知らねーェ。全裸で体に蜂蜜とか塗って立ってりゃァ寄ってくんじゃねェの。」
「それ名案ネ!」
「いやいや、それただの変態じゃん。逮捕だよ逮捕!!」
そんな人いたら、ほんと怖いからね。ってか、そんな人いないからさ!常識的に考え‥‥‥‥‥‥
「え、」
「何かいませんでした?」
「‥‥‥ハハ、気のせいだよ新八くん!疲れてんじゃん?」
「いや、何か見たことある人だったんですけど‥‥」
「ゴリネ、ゴリだったネ」
変質者ァァ!!!
警察が全裸で体に蜂蜜塗りまくってていいんですか。
いやマジこれ犯罪ですよね?
お妙ちゃんのストーカーしてる時点で犯罪ですけどォ!?
「‥‥クッ、やられた」
「何がですか」
あれを先にやられるとは!
先を越されたァァ!!
「アンタも犯罪者になる気かァァ!!」
とにかく、こんな不審者に構っている場合じゃない。
なんせここは戦場なのよ、真央!わかってるの!?
「はぁ‥もう、木に蜂蜜塗った方が早かったんじゃないですかね」
「だねぇ。‥ほんと、何も考えないできてしまったよ」
「なんとかなるアルよ!」
「‥‥ん?」
万事屋一行は、未だに森の中を歩き続けている。
結局、一行はカブトムシの一匹さえも見つけていないのだけれど。
「あれ、また‥‥」
「新八くん、気のせいだよ。昨日、深夜までエッチなDVDでも観てたんでしょ。やだなぁもう、思春期の少年は。そんなイヤらしい目でお姉さんを見ないで‥!」
「誤解を招く言い方すんじゃねェェ!!っていうか観てねーし!!しかもアンタ僕と同い年じゃねーかァァ!!」
「まぁ、落ちつけって」
「ハァ‥何か見たことある人なんですけどね‥ほんと」
「ニコチン中毒アル、略してニコ中ネ」
ニコチン中毒ゥゥウ!!
何か木にマヨネーズ塗りたぐってんですけどーォォ!!
そんなんカブトムシ来ませんから!!ってか人間すら寄りたくないし、そんなマヨやだからね!!でも何かすごい嬉しそう、かっっかわいい!!
これが今流行りの萌えの感情ってやつですかぁあああ!?
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