※銀時、ヒロイン共に学生設定になっています。
隣の席の坂田くん。
いつもダルそうに授業を受けている、そんな印象しかない。
なのだけれど、彼は今、目を輝かせてこちらを見ている。
自意識過剰だって?いや、そんなじゃないと思う。
「‥‥‥‥‥」
「あ‥‥‥あのぅ」
いい加減それを無視できるほどあたしは気にしないタイプではない。視線に耐えられなくなった結果、ついに隣の席の坂田くんに視線を向けて口を開いた。
「坂田くん‥何か、ご用でしょうか」
坂田くんとは元々接点さえなくて、会話もまともにしたことのないあたしは同級生にも関わらず敬語で尋ねる。
「あー」
坂田くんは一瞬キョトンとするも、ダルそうに銀髪の髪を掻き始めた。
「‥‥?」
「それ」
坂田くんが指をさす。
あたしはその方向に視線を移すと、それはあたしの机の片隅にあった。
「へ?」
「それウメェよな」
相変わらず、こちらに視線を向ける坂田くん。
「いちご牛乳」
「‥‥‥あ、」
そういうことか。
あたしは今さら、坂田くんの言っていることを理解した。
隣の席の彼は、あたしの机にあるいちご牛乳を見ていたのだ。
「‥‥いちご牛乳!」
「それすぐ売れ切れちまうんだよな!」
それもそのはず、お昼に自販機に行ったところでいちご牛乳を手に入れるのは中々と言っていいほど難しい。それほど好評ないちご牛乳が、あたしの机に置いてあるのだ。
「やっと、買えたの!」
「ふーん。手に入れるたァオマエすげーのな!」
彼は、だいぶ感心しているからなのかいつものダラけた印象を感じさせない。
「‥‥‥いる?」
あたしは坂田くんの目の前にいちご牛乳を差し出す。
「‥いらねェ」
「受け取りなよ」
あんなに見ていたということは、相当いちご牛乳が好きなんだろう。もう一度、坂田くんにいちご牛乳を差し出した。
「その代わり、」
遠慮がちにいちご牛乳に手をかざす坂田くん。
「今度、あたしにいちご牛乳おごってね」
そう言うと坂田くんは、「たりめェだろ」と言ってニッと笑みを浮かべた。
ただそれだけのことなのに、心臓がどくんとおっきく高鳴った気がした。
「わ‥‥あ、」
「あ?」
「こっち見ないで、坂田くんんん!!!」
「はぁ‥!?」
恋に落ちる、予感がした。
隣のキミ
(ちょ、近いってばー!!)
(だからさっきから何なんだよテメェは!)
(うるさいっ!離れてよ、天パ!!!‥‥‥あ)
(‥‥‥‥)
(ごめんなさあああい!いちご牛乳飲んで元気だそう!!)
▼3000ヒットありがとうございましたあー!いつの間にやらですよ、ほんと。
まだまだ未熟者ですが、あたたかく見守っていただけると嬉しく思います(^ω^)
20110423
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