いつから、こんな風になってしまったのだろう。いつから、あなたは遠い人になってしまったのだろうか。
「‥‥総ちゃん」
「その呼び方はやめろって前に言いやしたよね」
昔馴染みの彼の名を呼ぶが、気に入らないといった様子で冷たく言葉を返される。
「ごめん、」
「いいかげん、フラフラ近付いてくんの迷惑なんでさァ。」
「‥‥っ」
「目障りってことですぜィ」
いつから変わっちまったかって?そんなのも分からないアンタには永遠にわかりっこねーや。
涙を零せばオレが「泣くんじゃねェ」って涙を拭うとでも思ってるんですかィ。
「‥そっ、そーご‥」
「早く行きなせェ」
少し離れた場所で、上司である土方がこちらに向かって叫んでいる。
「ひ、じかたさん‥!い、今行きますっ!!」
少し慌てた様子で、荒げた声で彼女は言葉を返した。
すぐに行けばいいものの彼女は、困った顔をしてオレの顔を真っ直ぐにみつめ立っていた。
「何してるんでィ」
「あ‥あの、あたし‥何かしたのなら謝るから‥」
今にも泣きそうだ。
だけど、涙を拭うのも弱ったアンタを抱きしめるのもオレの役目じゃない。
「ただ、オレは、」
深く深呼吸して、彼女を目を真っ直ぐ見据える。
「アンタが嫌いなだけでさァ」
彼女の瞳が一瞬揺れる。
でも、彼女はすぐに力なく笑ってみせた。
「へへ、‥そっかぁ」
オレはすぐにくるりと反対方向へと歩き出す。
「‥‥‥総、ちゃん」
震えた声は聞こえなかった、そう、聞こえなかっただけだ‥。
アンタは大丈夫だ。
今すぐにアンタの愛する男が抱きしめてくれまさァ。だから何も心配はいらねェ。
気づいてたんだ、
どんなに想いをぶつけたところでアンタの近くにオレの居場所がないことを。
オレは、知ってたんだ。
消えゆく面影
(名前を呼んでくれやせんか
どうか、オレだけに
アンタの瞳にオレだけを映してくれやせんか‥――)
▼初の総悟。
悲恋で嫉妬気味‥。
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