「銀、時?」


さきほどまで体に冷たく落ちていた雨の雫が、一滴も落ちてこないことに気づいた。




「その、傘‥‥」


見上げると、銀時がいて傘があたしの上にあるではないか。
あたしはキョトンとして銀時と傘をみる。



「あたしの、傘!」


銀時がさす傘があたしの愛用している傘だということに気づくまでそう時間はかからなかった。


「これ結構、恥ずかしかったじゃねェか!ったく、テメェが傘忘れるからだぞ!」


ぶっきらぼうにいう銀時。
それもそのはず、ピンクにリボンの柄の傘なのだから。








「‥‥‥‥やっぱ、ここにいるんじゃねェかと思ったんだ」



小さく低く呟く銀時に、真央はうっすらと笑みを浮かべてみせた。


あたしと銀時の立つ前には、坂田家と記された墓石。





「‥‥あたし、ずっと、鮮明にあの日がよみがえるの。逃げたくても逃げられない。」




ねえ、銀時。
あたしたちはあの頃と変わったのかな?




「テメェだけじゃねェよ」

「‥‥‥」

「それによ、」




あたしはね、あの頃と変わってしまったかもしれない。

失いたくないものばかり失うのは嫌で、嫌で‥。


だから、あたしは新しい何かなんていらない。ただ、この瞬間を今ある大切なものを失いたくなくて護りたいだけ。





「今も昔も、オレたちが護りてぇもんは何ひとつ変わっちゃいねェだろが」







仲間も、
家族も、
友人も、
護りたかった。



"だったら、今ある大切なもん護ってまっすぐ生きりゃーいいんだよ"


「テメェは、間違ってなんかいねェんだよ。」


銀時は、自分にも言いかけるように低く安定した声色でそう言ったのだ。





「さぁ、帰ンぞ」


差し出された手に戸惑うも、あたしは甘えることにして、しっかりと彼の手を握りしめた。



「‥うん、」








それはまるで儚くて

(たしかに輝いていた)

だって、あのとき
あたしは護りたくて
まっすぐ立っていたんだもの。










――――――――――

失礼しました、
イミフメイですね(汗)
突発的に書いてしまい
失敗しましたみたいな‥

まあ例え大切なものを
なくしてしまったとしても
思い出だけは残ります。
儚い気持ちもあるけど
それはきっと輝きでもある。

また大切なものも増えて
護って守られて
生きていくんじゃないのかな





20110310

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