あのとき、
勇気をくれたのも
居場所をくれたのも

君だったんだろうね。







あたしが高校のとき、
離婚を決めた両親。

早くも再婚を決めた母親。


でも、あたしは
何も言えなかった、
そうじゃなくて
何も言わなかったんだ。


平気なふりをして、
笑顔をふりまいて、


だからこそ、
あたしは誰もいない公園をみつけて、高校生ながらにひとりで涙を流した。






「泣き虫真央ちゃ〜ん」


そう言って現れたのが、臨也だったんだ。


「泣いてなんかないよっ」

「強がりで泣き虫、可愛くないよねホント」


でも、



「まぁ、俺もドタチンも新羅も大きらいなシズちゃんもいるんだからさ」




そう言って、
あたしの頭を撫でてくれた。














「‥‥っ」


あのときの、ぬくもりをあたしはきっと求めてたんだ。



「バカ、臨也」


静かに頬を伝う涙。


真央は、スヤスヤと眠る臨也の頬をめがけて静かに唇をあてた。


しばらくして、あたしの頬はみるみるうちに赤くなっていった。









「泣き虫だね、ほんと」


同時に、響き渡る臨也の言葉。




「い、ざや‥?」


臨也は真央の頬に流れ落ちる涙を静かに拭ってやった。


「そんなに泣いたら、涙も枯れちゃいそうだよね。」

「‥枯れないから。」

「ごめん」


真央が静かに笑うと臨也はひとことだけ口にして、ぎゅっと抱きしめた。


「いっ、臨也?」


真央の問い掛けに返事はない。ただ、先ほど以上に強く強く抱きしめられる。



「くっ‥くるしいって!臨也!ねえ?」


それでも変わらない状況に、真央も静かに臨也の背中へと腕を回した。



「臨也、ありがとう。」