なぜ、こんなことになったのだろうか。聞きたいくらいだ。


誰か好きでこの変態とお鍋をかこんでパーティーをせねばならないのでしょうか。






「あたしは、いいので、波江さんとふたりで」


結局、鍋につかう具材やらなんやらの買い出しへとそのまま付き合わされて荷物も半分もたされるはめになった。


「真央は、好きな男にたいして他の女とご飯を食べろっていうのかい?どんだけ君は余裕なんだかねえ。」

「イミわかんない!!誰が誰を好きなのよっ!!」

「ハハ、やだなぁ。真央が俺にたいしてに決まってるじゃない!」


いつまでたってもかわらない。
高校のときに知ったあたしの気持ちを今も楽しげにネタにしている男。



「‥‥‥帰る!」



あたしは、臨也の態度にも言動にもいてもたってもいられなくなって、持っていた荷物を彼にぶつけて走り出した。








(なに、よっ‥‥)



人の気持ちなんて何も知らないくせ、に。
考えたことなんて、一回もないくせに。

それなのに人の気持ちを弄ぶなんて信じらんない。












「いてて、‥‥まったく、食べ物を投げるなんてね」

そう一人、自分にだけしか聞こえない声でつぶやく。
投げつけられた荷物を丁寧に拾いあげながら。

臨也は、静かに家路へと向かったのだった。













「なんで、家が隣なのよ‥」


あのまま家へと帰ったら、確実に彼とまた鉢合わせになると思った真央は、遠回りするようにして足を歩めた。





「あっれーお姉ちゃん、ひとりなのー?」
「ギャハハ、ナンパしてんじゃねえーよ!」
「なぁなぁ、遊ばねえー?」


歩いていると、いかにもガラの悪い男たちに前を塞がれていることに気づいた。


「え‥‥」


あたしは一気に男たちの威圧感におされて、一歩後ろへと下がる。

考えごとをしていたら、いつの間にか薄暗い路地で周りにはこの男たち以外に誰もいないのだと気づくのにあたしは少し時間がかかったみたいだ。