「ケチャップだもん!」
「マヨネーズだ!」
「いや、糖分とれって!」
真央が銀時のお楽しみであるスペシャルなご飯に、ケチャップをかけたことによって"ケチャップ"と"マヨネーズ"と"糖分"の論争はかれこれ30分ちかく続いていた。
「銀さんひどいよ‥‥昨日なんてオムライスにはケチャップだとかなんとか言ってたじゃない!!神楽ちゃんも、新八くんも嬉しそうにケチャップのかかったオムライス食べてたよ。
それなのに、なによ、ひどいじゃない!!あたし‥‥‥すごく虚しい。辛いもの。」
「ちょ‥ッ!真央ちゃんんん!???」
ペラペラと喋りながら、目に涙を溜める真央をみて銀時はあたふたしながら、大量の汗を流していた。
「真央ちゃんん!?銀さんが悪かった、悪かったからァア!!いや、悪くないんだけど、銀さんはね。」
(真央ちゃんんん!!まるで俺が浮気をして捨てたような誤解される言い方はやめてくれェェ!!!銀さん大切にするよォォ!むしろ束縛しちゃうよォォ!?)
必死に言葉をつなぐ銀時を横目に真央は、さらに小豆のうえにケチャップをかけたのだった。
「だァアァア!!真央様ー!!真央ちゃん様ーッ!!」
「真央ちゃん様っておかしいよ、うん。ちゃんと様、両方ともつけるの変だよね?」
「え、そこーォ!?」
「おい、真央。もういいだろ、さすがにこりゃ食べれねーよ‥‥」
土方の言葉に真央は、気力を失いがくりと肩を落とした。
「俺ァ、こんなことしに来たんじゃねェぞ。」
「えッ!あ‥十四郎!?」
呆れたような冷たい目でそう言った十四郎は、お店を後にしようとしたので急いであたしは、その後をすぐに追いかけた。
「十四郎ー!!待ってよッ!」
お構いなしにズカズカ歩く十四郎を真央は、必死に後をついていく。
「おいおい‥‥こらァ食えねェって。‥‥ったくよー」
二人が去っていった後、銀時は丼ぶりを見つめ深いため息をついたのだった。
「トーシローくーん!!ねぇ、聞いてるー?何でそんな歩くの早いの?」
「‥‥‥」
「ねぇ、怒ってるの?」
「‥‥‥」
「あれ?聞いてる?無視?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
「そんなにタバコばかり吸ってると病気になっちゃうよ」
「テメェは、しつけェェんだよ!!!うるせェェんだよォォ!!!」
何回も話し掛けたことで、十四郎は爆発したようで眼孔開きってぱなしで怒りを露わにした。
真央が、くすりと笑うと十四郎はまた鋭い目つきでこちらを睨み付けた。
「へへっ!十四郎とこうやってデートするの久しぶりだから嬉しいんだよね〜あたし!」
「‥‥デートじゃねェ」
「あたしがデートだと思えばデートなんですぅー!」
相変わらず無愛想な十四郎。
それでもあたしは、こうやってたまにこの人の横で歩けるだけで嬉しくて楽しくて幸せなんだ。
あたしが決まってそう思っても、彼はやはり、「くだらねェ」だとか「めんどくせェ」だとしか言葉を発さないけれど。
「マヨネーズよりもケチャップが目立ったからって拗ねないでよね。十四郎だって、もう立派な大人なんだよ?」
「だからァア!いちいち腹立つんだよォォおめェェェ!!!」
「もうマヨネーズにも糖分にも巻き込まれたくないよ」
「‥‥‥く‥‥ッ!」
必死に自分を抑え込もうとする十四郎をみて、あたしは思わず笑みを零しそうになった。
「さてさてー次はどこ行くー?パチンコいっとくー?」
「なんでだよ!!」
「あぁ!じゃキャバっちゃう?」
「いい加減にしろよ!何でそうなるんだよッ!キャバるとか意味わかんねェだろ!」
休日にデートに誘われたら気をつけろ!
(じゃあ、十四郎はどこ行きたいのよ)
(特にねェよ)
(じゃあ付き合って!)
(どこにだよ)
(いや、あたしの愛に)(‥オマエばかだろ。病院行っとくか。)