!注意※主人公、静雄共に高校生設定です。





「くぁーっ!!」



あたしだけの特等席。
なんて勝手に思っている、
学校の屋上にて。

思いっきり伸びをする。





「やっぱり屋上に限るねっ、うんうん。」


心に思ったことを口にするが、実際にこの場所にいるのはあたし一人なのだけれど。


わざわざたくさん人がいるところより、こうやって大きな空がみえてのんびり呆けてられる場所が一番だと思う。

なんせこの時間帯には、あたしひとりでこの場所を独り占めできるから最高なのだ。







「ん?」


ガチャリと屋上の扉をあける音に真央は、ぴたりと反応する。

ふいにそちらに目を向けると、大柄ではあるが細身でやや目つきに迫力というか‥威圧感というかを感じさせる男がいた。





「‥‥わっ、平和島くん!?」


見慣れたクラスメートの登場に真央は、だいぶ驚き目をまん丸くさせている。



「坂田?」

クラスメートである平和島静雄は坂田の姿に、きょとんとしたままつっ立っている。



「まさか担任に呼んでこいって言われた?いや、それはないはずだけど、あっ!あれっ平和島くんも、もしかしてサボリ?とか?」

ひとりで次から次へと淡々と喋りだす真央に静雄は少し不思議そうな顔をしている。



「あれ?平和島くん?」

「‥‥‥」

「え、えっと。あたし何か悪いこと言っちゃったかな?」


慌てる真央にハッと我に返ったのか、静雄はやや視線を逸らして小さく呟く。




「オレのこと、」

「知ってるよー。よく折原くんと凄まじい喧嘩してるもんね!」


にっこりした顔で答える真央に静雄は、ぐっと感情をこらえている。


「でも、あたし、ここで平和島くんみたから。 屋上でのんびりしてる人に悪い人はいないんだから!」

「怖く‥ねぇのか?」

「んーどうなんだろ。
でもあたしはさ、折原くんが悪意をもってやってるようにしか見えないんだよなあ‥あはは」


笑う真央に静雄は、またきょとんとしている。




「たまぁに、だけど、悲しそうな顔してるしね?」



遠慮がちに言う彼女に静雄は静かにフッと笑みを浮かべた。

怖いどころか、近づくことすら躊躇わずに、自分のことをみていてくれてる人がいることに悪い気はしないと彼は思ったみたいだ。







(だって、だって、
平和島くん‥‥あたしがここに来るのはもうひとつ理由があるからなんだよ)





そうは思っても、
声には出さずに
真央は静かに言葉を呟いた。





「‥‥気づかないよね」

「あ?」






ほら、ね。

でも今はこのままでいい。
こうやって君と話せるだけでじゅうぶんなんだからさ。





ホントの理由

(ここから いつもみてた )
なんて、まだ言ってやんない

だけど 明日も
こうやって君にあえますように
願うしかないかな


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