貴方に待つ身の辛さなどわからないでしょう

毎日毎日玄関を出て朝・昼・夜と周りを見渡すのが日課
貴方が帰って来るかどうかの、確認


「今日も…」


一人佇んでは不安が落ちる

貴方にもしもの事が有ったら私はどうなるだろう
それこそ狂ってしまうかもしれない

また誰も居ない景色に背を向けたら


「名前!」


愛しい声


「ただいま…逢いたかった」
「…気配を消すのがお上手だこと」


憎たらしい人


「毎回迎える度に泣くなよ」
「怖い、から」


貴方が帰らなかったら

毎日毎日同じ景色を
毎日毎日一人佇んでは


「ちゃんと文を出しているだろう」
「信用出来ない、あんな物」
「じゃあどうしたら良い?」
「ごめんなさい」


手のかかる女です

うつむけば「可愛い」と言って優しく抱いてくれる


「しかし寒いな最近…」
「中へ入りましょうか」
「名前呼んで迎えて」
「…利吉、おかえりなさい」
「ただいま」


飽く事無かれ、この日々
信じて待つしか出来ないとしても


(貴方を愛しているから)