冷え込む明け方、布団から上半身を起こした俺は後悔の念で一杯だった。

隣の人物は、横寝で剥き出しの白い背を向けている。
ごそりと動く。目は覚めている様だが顔も見たくないという風だった。


「…悪かった」


掠れた声で呟いても、返事はない。

後味の悪い空気だ。
おとなしく町にでも行けば良かったのに。欲のはけ口に、よりによって幼馴染みに手を付けるだなんて相当腐ってる。



やたらギラつく真夜中に急すぎる訪問。

「留ちゃん」

呼ばれて意識化で何かが外れた。そのまま引き摺り倒して、あとは勢いのまま好きにした。



昨晩は月が無かったから辺りは真っ暗で表情はわからなかったけれど。


「でもお前、抵抗しなかったよな」
「…………」
「…………」
「…………」
「…いや、すまん」


駄目だ、何を言っても最低な奴に変わりは無い。
どうしたものかと頭を掻いていると小さい声がした。


「別に怒ってないよ」
「え」
「だって、私、留ちゃん、…好きだし」


噛み砕く様にゆっくり発されたその言葉がゆっくり染み込んでくる。
急に体が熱くなった。寝そべって、横向きのままの彼女に腕を回す。項に口付けると少しだけ反応して、それからまたしても小さな声で言った。

留ちゃんは?


「俺もだ」


嬉しい。彼女は言う。
強く抱きしめると、柔らかな肌が密着して気持ちいい。


「留ちゃん」
「本当にごめん」
「いいよもう。でもね」


声が一段低くなる。


「町へ女買いに行ったら許さないから」


少しだけ、肝が冷えた。